昨年から順位上げた宮崎・小林 「詩のボクシング」元王者・佐々木監督の指導浸透 全国高校駅伝

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アンカーで5人抜きした藤田に声をかける佐々木監督(左)=京都市右京区のたけびしスタジアム京都の外で2020年12月20日午前11時37分、塩月由香撮影 拡大
アンカーで5人抜きした藤田に声をかける佐々木監督(左)=京都市右京区のたけびしスタジアム京都の外で2020年12月20日午前11時37分、塩月由香撮影

 京都・都大路で20日あった女子第32回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社主催)で前年から順位を19上げ14位だった宮崎県立小林高校。就任3年目の佐々木秀行監督(43)はその信念「指導とは言葉」がチームに少しずつ浸透してきた実感がある。監督は詩のボクシング元全国チャンピオン。自身は都大路や箱根の経験はないが、丁寧な言葉選びによる指導で選手本来の力を引き出した。

 旭化成のお膝元で陸上が盛んな同県延岡市出身。高校時代は陸上3000メートル障害の選手で東海大卒業後に帰郷して教員に。市民ランナーとして走る傍ら、「将来指導者となった際、言葉選びに役に立つ」と2006年、ボクシングのリングに見立てた舞台で自作の詩を朗読して勝敗を競う「詩のボクシング」の世界に。

 「走る」をテーマに短パンにランニングシャツ姿でリングに立ち、走っている時に心が折れそうになった失敗談も詩で披露、13年全国大会で優勝した。別の高校陸上部監督を経て、18年に小林の監督に就任した。

 19年にライバル宮崎日大から6年ぶりに県代表の座を奪還。監督として初の都大路は33位に終わったが、今年の県予選は全区区間賞で連覇。経験者が残っていることもあり「落ち着いたムード」で京都入りした。

県予選前に佐々木監督が部員全員に渡した手製の水彩画のメッセージカード。学校のトラックから見える霧島連山を描き、都大路にみんなで行こうという思いを込めた。「sasarin」は詩のボクシングのリングネーム=宮崎県小林市真方の県立小林高校グラウンドで2020年12月9日午後5時41分、塩月由香撮影 拡大
県予選前に佐々木監督が部員全員に渡した手製の水彩画のメッセージカード。学校のトラックから見える霧島連山を描き、都大路にみんなで行こうという思いを込めた。「sasarin」は詩のボクシングのリングネーム=宮崎県小林市真方の県立小林高校グラウンドで2020年12月9日午後5時41分、塩月由香撮影

 選手にどんな言葉をかけるか、この一年、常に考えてきた。部活動生の寮の横の官舎に家族と住み、相談役として選手から慕われる妻寿美佳さん(40)の助けもあり、選手の心身状態を日々把握。県予選前日には、手製のポストカードに「また駅伝がしたい」とだけ書き、部員全員へ贈った。つらい練習を一人一人が思い出し自信につながるように、学校のトラックから日々眺めた霧島連山の水彩画も添えた。

 この日、1区のエース原田紗希(2年)は都大路ならではの雰囲気と坂道を前に本来の力を発揮できず29位に沈むも、後続選手がじわじわ順位を上げた。アンカー藤田あい(同)は初の都大路で「中学2、3年時の都道府県駅伝では誰一人抜けなかった」という苦い思い出がある舞台だったが、フィニッシュ後、「まだまだ走っていたかった」と満面の笑みを見せ、チーム全体のメンタル面での最終調整の成功を物語った。

 7人抜きで22位に上げた主将の2区末山優珠(3年)は監督のカードをバッグに入れて中継地点へ。「感謝を伝えたくて走った」

 末山からたすきを渡された3区大坪沙代(同)もカードを日誌にはさみ持参。「怖いものなしで突っ込んだ」と18位に上げた。

 言葉の魔法で選手の力をどこまで引き上げられるか。21日からまた佐々木監督の新たな言葉選びの1年が始まる。【塩月由香】

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