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京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を発着点とするコースで20日開かれた男子第71回、女子第32回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催)で、県代表の世羅が5年ぶりの男女同時優勝を飾った。歴代最多を更新する10回目の優勝を収めた男子(7区間、42・195キロ)は2時間1分31秒でフィニッシュ。女子(5区間、21・0975キロ)は1時間7分13秒で駆け抜けて2回目の頂点に立った。いずれも同時優勝した2015年ぶりの全国制覇で、新型コロナウイルスの影響で部活動の制約を受けた今季、たゆまぬ努力で栄冠を手にした世羅には関係者らから祝福の声が寄せられた。
勝利を確信したのだろう。トラックに戻った7区(5キロ)の塩出(2年)は最終コーナーを回ると右手を高く突き上げ、両手を開いてゴールテープを切った。2015年に先輩たちが残した2時間1分18秒の最高記録に迫る歴代2位の好タイムに、笑顔がはじけた。
塩出が「1区から流れを作ってもらい、その思いをつないで走った」と振り返る通り、序盤からの安定したレース展開が光った。
1区(10キロ)は東農大二(群馬)の選手が飛び出したものの中間点過ぎには大きな集団が形成された。集団の中で森下(2年)も粘ったが、途中から遅れ気味に。「7キロ以降がきつかった。トップから離れたが、その距離を保てた」と冷静さは失わなかった。総合力から1区に起用した新宅昭二監督(49)も「粘り強かった。予想以上の走り」と首位から22秒差の区間9位の走りに合格点を与えた。
2区(3キロ)の吉本(3年)が区間5位の走りで順位を5位に上げると、3区(8・1075キロ)のコスマス(2年)が「狙っていたのでうれしい」という22分39秒の区間新記録をマークする走りでトップに躍り出た。
4区(8・0875キロ)は主将の新谷(3年)。「4キロぐらいで差し込みが来た。たすきがなければ粘れなかった」。途中で苦しそうな表情を見せるなど区間13位は本来の走りではなかったが、粘ってつないだ。
5区(3キロ)の石堂(1年)、6区(5キロ)の吉川(2年)も順位を下げることなく7区の塩出へ。2位の仙台育英(宮城)に差を詰められながらも、塩出は「自分のペースで確実に行こうと思った」と冷静な走りを披露し、区間3位の力走で逃げ切った。
第1回大会から優勝を重ねてきた世羅に、10個目の勲章が加わった。今季は新型コロナウイルスの影響もあって難しい調整を強いられたが、新宅監督は「これまでの世羅の歴史にチャレンジすることが、彼らのモチベーションだった」とたたえた。【中田博維】
5区(5キロ)の緩やかな下り坂をゆくムッソーニ(3年)の厳しい表情は変わらない。大きなストライドで1人、また1人とライバルを交わし、3キロを過ぎて首位をゆく選手を捉えると、もう遮るものはなかった。トラックに入っても、後続との差は縮まらない。5年ぶり2回目の優勝を決めるフィニッシュの瞬間に両手を突き上げると、その表情からようやく硬さが取れた。
「地域の人やチームメートのサポートを、力に変えられました」
7人抜きの快走を見せたムッソーニの区間記録は14分37秒。これまでの記録を27秒上回る区間新をたたき出した背景には、チームメートの快走もあった。
中川久枝監督(59)は全5区間のうち、12位に終わった前回大会を経験した山際、加藤小、ムッソーニの3人をメンバーに指名。前回は2区(4・0975キロ)で区間新を出したムッソーニをアンカーとし、序盤はトップ集団に食らいつく“我慢の走り”を求めた。
レースは狙った通りの展開となる。「チームを勢いづける走りをしたい」。大会前にそう意気込んでいた主将の山際(3年)は1区(6キロ)を激走。スタートから続いた集団の中でも粘り強い走りを崩さず、首位から30秒差の4位で2区の加藤小(3年)にたすきをつないだ。集団にもまれて失速し、区間20位に沈んだ前回と同じ1区で雪辱を果たした。
たすきは2区の加藤小から3区(3キロ)の細迫(2年)へ。順位こそ9位に落としたものの先頭をうかがえる位置で駆け抜け、第4中継所で4区(3キロ)の加藤美(3年)が8位でたすきを渡したときは首位から42秒差の位置につけていた。そして、ムッソーニが7人抜きで駆け抜けた。
11月の県予選がトラックレースで実施されるなど、今季はコロナ禍で手探りの日々が続いた。それでも、中川監督が「普段通りいこうね」と送り出した選手たちは力を発揮した。フィニッシュしたムッソーニを迎えた選手たちの笑顔がはじけた。【中島昭浩】
世羅町本郷の県立世羅高校では20日、山垣内雅彦校長や同校陸上部OBOG会事務局長の神田敬州・修善院住職ら5人が事務室でテレビ観戦し声援を送った。男女同時優勝が決まると拍手し、手を握り合って喜びに浸った。
2019年までは校長、教頭らも現地で応援したが、20年は新型コロナウイルスの感染予防で自粛していた。
この日、山垣内校長は「選手の快走がもどかしさを吹き飛ばしてくれた。やるべきことをコツコツやった成果が100%出ていた。本当にうれしい」。選手の座禅指導をした神田住職は「とりわけ女子をほめてやりたい。コロナ禍の逆境下でも優勝するという信念を持ち続けたことで実力以上の力を発揮した。涙が出る」と話した。
一方、湯崎英彦知事は報道各社に「見事な走りと男女同時優勝の快挙は、コロナ禍で沈みがちな県民に大きな感動と喜び、希望と誇りを与えてくれた」とのコメントを発表。コロナ禍により部活動が制約されるなかで達成した世羅の快挙をたたえた。【渕脇直樹、小山美砂】
<男子> 2時間1分31秒
1区(10キロ) 森下翔太 29分18秒(9)
2区(3キロ) 吉本真啓 8分09秒(5)
3区(8.1075キロ)コスマス・ムワンギ 22分39秒(1)
4区(8.0875キロ)新谷紘ノ介 23分35秒(13)
5区(3キロ)石堂壮真 8分49秒(5)
6区(5キロ)吉川響 14分41秒(6)
7区(5キロ)塩出翔太 14分20秒(3)
<女子> 1時間7分13秒
1区(6キロ) 山際夏芽 19分48秒(4)
2区(4.0975キロ)加藤小雪 13分19秒(10)
3区(3キロ) 細迫由野 10分03秒(12)
4区(3キロ) 加藤美咲 9分26秒(5)
5区(5キロ)テレシア・ムッソーニ 14分37秒(1)
※左から▽区間▽距離▽氏名▽記録▽区間順位――の順。
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