なぜバスマットからアスベスト? 流通の背景に規制の「盲点」
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アスベスト(石綿)が含まれたバスマットなどが11月から、大阪府貝塚市のふるさと納税の返礼品、大手ホームセンター「カインズ」や「ニトリ」の販売商品で相次いで見つかり、大規模な商品の回収が進められている。いずれの製品にも「珪藻土(けいそうど)」という吸水性の高い素材が使われているため、ネットなどでは珪藻土を危険視する意見が散見される。だが専門家らは「今回のケースは珪藻土の問題ではない」と指摘する。一連の問題の本質に迫った。
鉱物繊維である石綿は、安価で耐火性などに優れる。1970~90年代を中心にこれまで日本に約1000万トンが輸入され、建材などで広く利用された。石綿を吸い込むと数十年の潜伏期間を経て、中皮腫や肺がんなど深刻な健康被害を引き起こす。国は2006年に労働安全衛生法施行令を改正し、石綿が重量の0・1%を超えて含まれる製品の輸入、製造や販売を禁止している。
一方、珪藻土は藻類の一種である珪藻の殻が化石になり堆積(たいせき)して生成された土の塊を砕いて作ったものだ。吸水性、吸湿性に優れていることから、建材や雑貨などに広く使われている。地中から産出されるが、天然の状態では石綿をほとんど含まないとされる。
今回、回収対象になった一連の製品の流通の背景には、規制の「盲点」がいくつか潜んでいる。まずは、貝塚市のふるさと納税返礼品のケースを見ていきたい。
珪藻土使用のバスマットとコースターを回収
貝塚市は11月、ふるさと納税の返礼品として16年8月から20年2月まで取り扱っていた、市内のメーカー「堀木工所」が製造したバスマット約1万5000枚とコースター約2500枚に石綿が含まれている恐れがあると発表した。調査した厚生労働省や市によると、石綿の濃度はバスマットの大きいサイズが0・38%、小さいサイズが0・61%、コースターが0・1~0・3%で、いずれも国の規制値の0・1%を超えていた。
これらの製品は…
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