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自民党の吉川貴盛元農相が議員辞職した。健康問題が理由だというが、農相在任中に大手鶏卵生産会社「アキタフーズ」グループの元代表から現金500万円を受け取った疑惑を東京地検特捜部が捜査している。
家畜を快適な環境で飼育する国際基準の緩和などを、政界や農林水産省に働き掛けていたのが元代表だった。
吉川氏への現金提供を認めているという。その一部が大臣室で受け渡された疑いも出ている。
重大な問題にもかかわらず、吉川氏は入院を理由に説明を避けている。辞任にあたって出したコメントも、現金の授受については全く触れなかった。
肝心の疑惑は説明しないまま、辞職すれば済むという話ではない。曖昧なままにすれば、国民の政治不信はますます募る。
吉川氏は、秋の自民党総裁選で菅義偉首相の選対事務局長を務め、政権発足とともに党選対委員長代行に就いた。菅首相は疑惑解明に背を向けてはならない。
一連の疑惑では、安倍晋三前政権で農相などを歴任した西川公也元衆院議員も内閣官房参与を辞職した。現金の授受が取り沙汰されていたが、説明はしなかった。
前政権下では「政治とカネ」を巡る問題が相次いだ。前首相の後援会が「桜を見る会」に合わせて主催した前夜祭の費用を補塡(ほてん)していた疑惑もその一つだ。特捜部は前首相から任意で事情聴取した。
前首相は、「事務所は関与していない」など、事実と異なる国会答弁を少なくとも118回していた。「虚偽答弁」がまかり通れば、国会の権威が損なわれる。
ところが、与党は原則非公開の議院運営委員会理事会を開き、前首相から弁明を受けることで幕引きしようとしている。野党は、前首相と一問一答形式の質疑をする公開の予算委員会を求めている。
前首相は、疑惑が発覚して以降、捜査を理由に口をつぐんできた。国会での説明の形式などに条件を付けず、虚偽答弁を繰り返すことになった経緯を国民に対してつまびらかにすべきだ。
国会や国民への説明を軽視することが続けば、民主主義の根幹が揺らぐ。政治への信頼回復はさらにおぼつかなくなる。
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