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本州最南端に民間ロケット発射場 人工衛星打ち上げ可能 21年完成へ整備進む

和歌山県串本町に建設中のロケット発射場の完成イメージ図=スペースワン提供

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 本州最南端の和歌山県串本町で、小型人工衛星を打ち上げるための民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」が2021年に完成する。22年春までにはロケットを発射する計画で、20年代半ばまでには年間20機程度を打ち上げると見込む。地元は産業振興や雇用創出だけでなく観光資源としても期待しており、「宇宙への玄関口」として町をアピールしていく構えだ。

ロケット発射場の計画地=和歌山県串本町で2019年3月26日、本社ヘリから望月亮一撮影

 小型人工衛星は海上や地上の観測、通信などの分野で世界的に需要が増えている。将来的には被災状況の把握や農作物の収穫時期の見極めなどにも活用できると期待されており、打ち上げを希望する民間企業は多い。発射場を建設する宇宙事業会社スペースワン(東京都)によると、世界の小型人工衛星の打ち上げ数は08~17年の実績で約1000機だったのに対し、18~27年は4600機と4倍以上になる予測もある。

 ただ、現在、国内にあるロケット発射場で人工衛星を搭載して打ち上げられるのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が管理する種子島宇宙センターと、内之浦宇宙空間観測所(共に鹿児島県)の2カ所だけ。いずれも国や研究機関が優先されるため、企業にとっては利用しにくい。実業家の堀江貴文さんが関わる宇宙ベンチャーのロケットが19年5月、北海道大樹町から打ち上げられ高度100キロ以上の宇宙空間に達して話題を集めたが、人工衛星の搭載には至っていない。

発射時に管制塔の役割を担う建物の建設現場=和歌山県串本町で2020年12月9日午前10時41分、山口智撮影

 こうしたなか建設されるのが串本町の発射場「スペースポート紀伊」だ。周辺に民家がないなどの条件を満たした海沿いの山林15ヘクタールを切り開き、総合指令棟やロケット組み立て棟などの整備が進められている。

 スペースワンは現在、JAXAの小型ロケット「イプシロン」の製造に携わった会社の協力を得て、高さ約18メートル、重量約23トンの小型ロケットを開発中。大型ロケットで100億円以上かかるといわれる打ち上げ費用を大幅に抑えたうえで、契約成立から1年以内に打ち上げることを目指しており、広報担当者は「低予算と早さが強み。民間の発射場は世界的に少なく、海外企業からの発注も想定している」と意気込む。

町活性化へ期待、経済効果670億円と試算

 一方、発射場の建設で地元も活気づいている。和歌山県は年間の見学者を約4万人、技術者の滞在費も含めた経済効果が10年間で約670億円と試算。将来的には宇宙関連産業の和歌山への集積ももくろむ。

ロケット発射場の完成イメージ模型=和歌山県串本町で2019年11月15日午後4時32分、最上聡撮影

 串本町や隣接する那智勝浦町も海水浴場や廃校となった小学校などを見学の拠点として観光客誘致に取り組む方針。串本町の小学校でペットボトルロケットを打ち上げる体験学習なども実施している。

 田嶋勝正・串本町長は「ロケット関連の技術者と子どもたちとの交流も増やしたい。子どもたちが、将来地元のロケット関連施設で働くようになるかもしれない」と人口減が続く町の活性化に向けて夢を描いている。【山口智】

山口智

1988年、岩手県生まれ。6年間の地方紙勤務を経て、2020年入社し、和歌山支局に所属。前職では主に東日本大震災の被災地取材を担当してきた。

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