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検察官定年延長を問う

内閣の裁量で高検検事長らの定年延長を可能とする特例を盛り込んだ検察庁法改正案についてまとめます。

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「検察官の加重類型うんぬんの指摘は的外れ」 検察審査会、黒川元検事長「起訴相当」の議決要旨

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検察庁=東京都千代田区で2020年5月21日、宮間俊樹撮影
検察庁=東京都千代田区で2020年5月21日、宮間俊樹撮影

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言中に新聞記者らと賭けマージャンをしたとして、賭博容疑で告発された黒川弘務・元東京高検検事長(63)に対する東京地検の不起訴処分について、検察審査会が「起訴相当」と議決したことが関係者への取材で判明した。

 検察審査会の議決要旨は次の通り。

 <黒川弘務・元東京高検検事長に対する検察審査会の議決要旨>

◆議決の趣旨

本件不起訴処分は、

1 黒川元東京高検検事長について、

(1)賭博の容疑事実については、不当であり、起訴を相当とする。

(2)収賄の容疑事実については、相当である。

2 産経新聞記者A、産経新聞記者B、朝日新聞社員について、

(1)賭博の容疑事実については、不当である。

(2)贈賄の容疑事実については、相当である。

◆議決の理由

検察審査会の判断

1 賭博罪について

(1)賭博行為の成否

本件容疑事実のうち4回の賭けマージャン(①令和2年4月13日から同月14日ごろまで、②同月20日から同月21日ごろまで、③同年5月1日から同月2日ごろまで、④同月13日から同月14日ごろまで)は、いずれも刑法上の「賭博」に該当することが認められる(以下、前記4回の賭博行為をまとめて 「本件賭けマージャン」という)。

(2)常習賭博罪の成否

ア 検察官の判断

検察官は、本件賭けマージャンについて常習賭博罪(刑法第186条1項)における「常習」性が認められず、単純賭博罪(同法第185条)が成立するにとどまると判断した。

検察官は、その理由として、概略、①賭博の種別・複雑性について、マージャンが社会一般に認められる遊戯の一つであって娯楽性が高く、典型的な賭博方法にも当たらないこと②賭場の性格・規模について、本件賭けマージャンが行われたのが、日常的に賭博が行われる場所ではないこと③賭金や掛け率も過去に立件された事案ほど高いとは認められず、一晩に動く金額も1人当たり数千円から2万円程度で射倖(しゃこう)性が高いとはいえないこと④娯楽として行われたもので、営業性が認められないこ、⑤期間及び度数は、比較的短期間でかつ回数も多くないこと――等を挙げる。

イ 容疑者らについて

黒川元検事長は、従前から賭けマージャンをしていたところ、法務事務次官として勤務していた平成28年以降もマスコミ関係者等との賭けマージャンを続けていた。そのメンバーの中に、朝日新聞社員、産経新聞記者B及び産経新聞記者Aも含まれていた。この当時の賭けマージャンは、いわゆるジャン荘で行われていた。

ウ 本件賭けマージャンに至る経緯

容疑者らは、黒川元検事長が東京高等検察庁検事長に就任した平成31年1月以降、マージャン卓のある産経記者A方に定期的に集まり、賭けマージャンに興じるようになった。賭けマージャンの場所を従前のいわゆるジャン荘から産経記者A方に変更したのは、黒川元検事長が検事長に就任したことをおもんぱかったものであった。ただし、この時点で賭けマージャンを止めることはなく、黒川元検事長に時間的余裕が生まれたこともあり、逆に回数が増えた。

容疑者らは、おおむね月3、4回産経記者A方に集まって賭けマージャンをすることとしていたが、賭けマージャンをしないこともあった。賭けマージャンをする場合には、夕方ごろに集まり、解散するのは最寄り駅の終電時刻よりも後となるのが通例であった。

本件賭けマージャンの当時、政府は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、緊急事態措置を実施すべき区域とて東京都等を定めた新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態を宣言し、国民に対し、人と人との接触やいわゆる「3密」の回避を要請していたが、容疑者らは、これを理由に賭けマージャンを止めることをしなかった。

エ 本件賭けマージャンのルール等

本件賭けマージャンを含む容疑者らが興じた賭けマージャンのルールは、マージャンとしては一般的なルールである上、掛け率もいわゆる「点ピン」といわれるもので、1回(夕方ごろからの数時間)で動く金額は数千円から2万円程度であることがほとんどであった。

また、本件賭けマージャンに営業性は認められない。

オ 検討

以上によれば、容疑者らは、平成31年1月以降だけをみても、少なくとも月2、3回程度集まって賭けマージャンに興じており、本件賭けマージャンも約1カ月の間に4回も行ったものであり、その頻度は決して低くない。東京都等を実施区域とする新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態が宣言されていた最中であってもあえて本件賭けマージャンに及んだことは、賭けマージャンに係る規範意識が鈍麻していることを裏付けるものである。特に、黒川元検事長は、その役職上賭博を含む刑罰法規をよく承知しながら、賭博行為を自制あるいは抑止できなかったという意味で、記者らよりも「常習」性を肯定すべき事情が多い。

また、その掛け率や1回当たり…

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