毎日新聞
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新型コロナウイルスの変異種による感染が、英国などで拡大している。ロンドンでは陽性者に占める変異種の割合が6割を超えた。
ウイルスが増殖する過程で、遺伝情報の一部がコピーミスを起こし、ヒトの細胞に結合しやすい形に変異したとみられる。英医療当局によると、感染力は最大で変異前の1・7倍だ。
日本は第3波の流行の渦中にある。感染者の増加を抑えられず、感染経路の特定も難しくなっている。そんな中に感染しやすい変異種が入り込めば一気に広がり、医療崩壊を招きかねない。
重症化リスクやワクチンの有効性など分からない点も多い。政府は動向を注視し、取り得る最大限の対策を講じるべきだ。
既に50カ国以上が、英国からの入国を規制する措置を決めている。日本政府も、現地への短期出張者に対して帰国後の「14日間隔離」を義務づけるなど、水際対策を強化した。
現時点で、この変異種に感染した事例は国内で報告されていない。だが、海外との往来が徐々に緩和されつつある現状では、決して楽観できない。
ただ、水際対策にも限界がある。入国時に陰性でも、その後感染が分かる場合があるからだ。14日間の隔離ルールも本人任せで、諸外国より緩いと指摘されている。
感染状況の監視体制も十分とは言えない。変異種を見つけるには、陽性者の検体を遺伝子配列まで解析する必要がある。現状では、検体のうち解析に回るのは1割程度にとどまる。
しかも、入国者が集中する首都圏では検体の多くが民間検査会社で調べられる。このため、遺伝子解析を政府主導で進めることが難しい。こうした点は早急に改善すべきだ。
入国制限の拡大も必要だ。政府は英国との往来に絞っているが、変異種の感染者は欧州各国、香港や豪州でも確認されている。南アフリカでは別の変異種が見つかっている。
ウイルスの変異そのものを防ぐことはできない。変化をいち早くとらえて臨機応変に動く機敏さが求められる。不測の事態に備え、現行の感染防止対策で乗り切れるかどうかも、再点検が必要だ。
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