毎日新聞
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新型コロナウイルスの「第3波」拡大を受け、菅義偉首相は来年の通常国会でコロナ対策の特別措置法を改正する考えを示した。
全国知事会は早くから法改正を要望してきた。政府は感染が収束した後の課題だとして先送りしていた。今月初めに野党が共同で改正案を国会に提出したが、会期の延長に応じず閉会した。
需要喚起策「GoToキャンペーン」の見直しが遅れるなど、政府には危機感の薄さが目立っていた。世論調査で支持率が急落する中で、方針を転換したようにしか見えない。
効果的な感染対策を講じるために法改正の検討は必要だ。
焦点は、事業者に対する休業や営業時間短縮の要請について実効性をいかに高めるかだ。
全国知事会は、要請を受け入れた場合の協力金制度を法律に明記するよう求めている。要請に応じなかった場合の罰則や営業停止処分も要望している。
協力金はすでに一部の都道府県で導入され、政府が財政支援をしている。この仕組みを法律で位置付けるものだ。
一方、罰則については慎重な検討が必要だ。休業要請に強い強制力を持たせると私権の制限になる。特措法も、権利制限は必要最小限にとどめなければならないと記している。
これまで多くの事業者や国民は、政府や自治体の自粛要請に応じて感染拡大を抑えてきた。要請に応じない事業者も出てきているが、収束が見通せず経営が苦しくなっている事情が背景にはある。罰則を科しても効果が上がるかどうかは不透明だ。
緊急事態宣言が発令されていなくても、臨時の医療施設開設を可能にすべきだとの提案もある。医療崩壊を防ぐ観点から妥当性を検討すべきだ。
宿泊・自宅療養や保健所の接触者調査に応じない感染者がいることも指摘されている。政府は感染症法の見直しで対処する考えだが、人権への配慮が欠かせない。
感染対策には国を挙げた取り組みが必要だ。年明けの通常国会は1月18日に召集予定だが、それでは遅すぎる。早期に開会して野党と議論を尽くし、必要な法改正について合意作りに努めるべきだ。
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