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「桜を見る会」前夜祭の費用補塡(ほてん)問題について、安倍晋三前首相が衆参両院の議院運営委員会で説明した。
自分が知らないうちに秘書が補塡し、その秘書の「補塡していない」という説明をうのみにして事実に反する国会答弁をしたと主張した。
しかし疑念は深まるばかりだ。
補塡の原資は、自身の預金の中から事務所に預けた「手持ち資金」だという。その額は4年間で約700万円に上る。秘書が独断で支出し、報告すらしないというのは不可解だ。
会場となったホテルの明細書については、これまで「発行されていない」と答弁していた。それが今回は、ホテルにはあるものの営業上の秘密があるので公開できないという説明にすり替わった。
なぜ秘書が政治資金収支報告書に記載しなかったのかという動機も、明らかになっていない。
問題は前夜祭にとどまらない。疑惑の核心は、公費で行われる「桜を見る会」に、首相が地元支持者を数百人規模で招待していたという「権力の私物化」だ。
委員会でこの点をただされた安倍氏は、招待者推薦の手続きに言及するだけで、多くの支持者を招待していた理由については口をつぐんだ。
そもそも答弁の訂正を申し出た安倍氏の求めで設けられた説明の場だった。
ところが、首相在任時と同様に、野党の質問には正面から答えず、聞かれていないことを長々と述べて時間を費やした。
事実関係を確認する質問に対し、「事前の通告がない」と回答を避けた場面もあった。これでは説明責任を果たすつもりがあるのか疑われる。
衆院調査局によると、国会での事実と異なる答弁は、少なくとも118回に上る。
虚偽答弁がまかり通れば、論戦は成り立たなくなる。民主主義の基盤を損なう重大な問題だという認識があるのだろうか。
安倍氏の無理な説明は、新たな疑問を生んでいる。虚偽答弁が問題になっている事柄であるだけに、ウソをつけば偽証罪に問われる証人喚問で真相を解明する必要がある。