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若島正・評 『追憶の東京 異国の時を旅する』=アンナ・シャーマン著、吉井智津・訳

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『追憶の東京 異国の時を旅する』
『追憶の東京 異国の時を旅する』

 (早川書房・2420円)

街が忘れつつある記憶を探る幻視行

 東京に十年余り滞在した経験を持つ、英国在住のアメリカ人作家による紀行エッセイ――こう言われるだけで、読者はつい身構えてしまうかもしれない。そういう外国人による日本体験記は数が少ないわけでは決してないのだし、いくら観察者として鋭い目を持っていても、そこには微妙なずれがあることをわたしたち日本人は感じ取ってしまうものである。ましてや、そこに描き出された日本の姿が先入観によるステレオタイプなものであればなおさらだ。

 しかし、アンナ・シャーマンによる『追憶の東京 異国の時を旅する』は、そうした日本人読者の予断を、快いほどに裏切ってくれる。

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