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厚さが1メートル以上あるコンクリートで覆われた地上3階、地下1階の建物。吹き抜けになった室内の壁に設置された巨大な日本地図に、赤いランプが点灯した。その地点から米軍機の目撃情報が入った合図だ。「敵機5機」。ヘッドホンを着けた女性が告げ、目の前にある機器のスイッチを素早く動かす。発見時間や機体の数、高度、飛び去った方角などが情報盤に表示された。「すぐに空襲警報を発令しろ」。将校の声が響いた。
太平洋戦争中、各地に空襲警報を出すため、東京や大阪などの陸軍司令部に設けられた防空作戦室。飛来する敵機を地上から監視する部隊や、住民の男女ら民間人で組織された「防空監視隊」から情報が集まってくる。電話を受け、情報盤に表示させているのは「女子防空通信隊」の隊員たちだ。
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