慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった日韓合意から12月28日で5年を迎える。文在寅(ムン・ジェイン)政権は、被害者の声を十分聞いていないとして2018年に事実上、合意を白紙化して今に至る。最近は合意について、日韓で別々の解釈を国際社会へアピールしている。【青木純、ソウル堀山明子】
独ベルリンで9月に設置された慰安婦を象徴する少女像を巡って、地元で議論が続いていた11月25日。韓国の康京和(カンギョンファ)外相はドイツやカナダ、国連などの人権担当者をオンラインでつないで「紛争下の性暴力撤廃 生存者中心のアプローチ」をテーマにした国際会議を主催し、こう切り出した。
「かつての韓国政府は慰安婦問題の解決に向けた過程で、生存者中心のアプローチが欠けていた。今の政府はそれを認め、生存者の声を聞く努力を強めている」
日韓合意という単語こそ出さなかったが、朴槿恵(パククネ)前政権が結んだ合意を、「元慰安婦の意見を十分に集約しなかった」と批判して白紙化した文政権の正当性をアピールする発言だ。韓国がこの国際会議を主催したのは昨年に続いて2回目。日本への名指し批判は避けながらも、合意には欠陥があったとの認識を国際社会に浸透させることを狙っている。
日本外務省も11月30日、ウェブサイトに慰安婦問題の取り組みについて英語、ドイツ語、韓国語の翻訳付きで解説する文書を掲載。合意について「多くの元慰安婦の方々の評価を得ている」と強調し、韓国外相を務めた潘基文(バン・キムン)前国連事務総長や米国からも支持を得たと強調した。
日韓合意では「国際社会で互いに非難・批判することは控える」ことになっていた。しかし、日本は「合意違反」…
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