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「放課後ていぼう日誌」クリアファイルを寄付のお礼に 九州豪雨で被災した「聖地」熊本・芦北町

熊本県芦北町が災害支援寄付をした人に贈るクリアファイルのデザイン=©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部

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 九州豪雨で大きな被害が出た熊本県芦北町が、ふるさと納税で災害支援のための寄付をしてくれた人に、町をモデルに描いたテレビアニメ「放課後ていぼう日誌」の描き下ろしイラストが入ったクリアファイルを「お礼」として贈り始めた。作品に登場する場所を訪れるファンも増え、主人公を描いたラッピング列車も運行開始。1月4日で発生から半年を迎える豪雨からの復興を目指す町の励みとなっている。

 「放課後ていぼう日誌」は、海に近い田舎町に都会から引っ越してきた主人公の高校1年生、鶴木陽渚(つるぎひな)が、堤防を散歩中に先輩の黒岩悠希(ゆうき)と出会ったことで、黒岩が部長を務める釣り部「ていぼう部」に入部。個性的な部員と触れ合ううちに釣りの楽しさを知っていく――との物語だ。舞台は「芦方町」という架空の町だが、随所に芦北町をモデルにした街や海辺の風景が丁寧に描かれている。

ラッピング列車に描かれた「放課後ていぼう日誌」のキャラクターたち。左から2番目が主人公・鶴木陽渚、右端がていぼう部長の黒岩悠希=肥薩おれんじ鉄道提供

 作品は「月刊ヤングチャンピオン烈」で2017年から連載され、電子書籍版を含めた単行本の発行部数は累計90万部。20年にはアニメ版がテレビ放送された。しかし、放送期間中の7月に九州豪雨が発生。佐敷(さしき)川が氾濫し、土砂災害も多発した芦北町では死亡・行方不明が12人、全半壊が約1000棟に上った。九州在住の作者、小坂泰之さんも自宅が被災したことをツイッターで明らかにしており、漫画も一時休載になった。

 作品で親しんだ町の被災を悲しむファンは多く、「ふるさと納税」の仕組みを使い、返礼品がなく全額が復興に充てられる「災害支援寄付」には20年7、8月だけで2170万円が集まった。寄付者からは「ていぼう日誌のファンです」「復興したらぜひ町に行きたい」とのメッセージも寄せられている。

九州豪雨で大きな被害を受けた熊本県芦北町。豪雨翌日、町内の川には流されたダンプカーや重機が土砂に埋まっていた=2020年7月5日午前9時、矢頭智剛撮影

 KADOKAWAや秋田書店などで作るアニメの製作委員会も「役場をはじめとしたみなさんの協力で、芦北町をモデルとした美しい風景を描けた。少しでも力になりたい」と、町の風景を背に国史跡の佐敷城跡に立つ部員らの姿を描いたイラストを町に無償提供。町はイラストに「ありがとう!」の文字を加えてクリアファイルを作り、12月16日以降に返礼品なしで寄付をしてくれた人に贈っている。

 町内では、作品のモデルとして登場した海辺や釣具店など実在する場所を訪れ「聖地巡礼」する人の姿が18年ごろから増えている。町観光協会は更なる盛り上げにつなげようと、20年10月、ホームページにアニメの場面と町の実写風景を並べて紹介する特設ページを開設した。熊本県八代市と鹿児島県薩摩川内市を結び、芦北町も走る肥薩おれんじ鉄道も12月19日から、主人公らを描いたラッピング列車を走らせている。

肥薩おれんじ鉄道の「放課後ていぼう日誌」ラッピング列車=肥薩おれんじ鉄道提供

 肥薩おれんじ鉄道は「関連グッズの開発や駅の装飾などにも取り組みたい」と意気込む。自身も作品のファンで、町企画財政課でふるさと納税を担当する杉村真美(まさみ)さん(32)は「作品に登場した海岸や高校などの中には被災した場所も多く、作品に関するコメントと共に届いた寄付がうれしい。みなさんの思いを受けて復興に向けて頑張りたい」と話している。【吉川雄策、山本泰久】

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