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社説

大深度地下の工事 リスクの再点検が必要だ

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 東京都調布市の住宅街で起きた道路の陥没は、東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事の影響だと、事業者の東日本高速道路が認めた。

 地下40メートルより深い「大深度地下」を利用する事業で、初めての陥没事故だ。徹底した調査・分析による原因解明が欠かせない。

 大深度地下を利用する制度は、地下開発が進む3大都市圏で2001年に始まった。公益性のある事業については、国などの認可を受ければ、地権者の同意や用地買収が不要となる。

 地下深くであれば、地下水への影響はほとんどなく、地表に振動も伝わりにくいと考えられたためだ。用地交渉が必要なければ、工期短縮やコスト減につながる。

 現場の道路が5メートル陥没したのは10月のことだ。その1カ月前、地下47メートルを円筒形の掘削機であるシールドマシンが通過していた。

 付近では工事中に、騒音や振動が続き、住宅の外壁にひびが入った。近くの地下では、長さ約30メートルの空洞が2カ所も見つかった。

 家屋被害に関して東日本高速道路は補償する方針を示している。ただ、住民からは資産価値の低下を懸念する声が上がっている。

 有識者委員会の調査では、現場は流動化しやすい特殊な地盤だった。掘削作業によって、地盤が緩んだ可能性があるという。

 事業者も有識者も、想定外の出来事と受け止めている。だが、ボーリングなどの事前の調査が不十分だったのではないか。

 外環道の対象区間は約14キロに及ぶ。大深度地下で、ここまで大規模な工事は例がない。

 住民の反対は根強く、中止を求める裁判も起こされている。一方、認可した国土交通省はこれまで、「地上への影響は生じない」と強調してきた。

 しかし、その前提が崩れた以上は、リスクの再点検が必要だ。安全が確認できないのならば、ルート変更など計画の見直しも検討すべきだろう。

 大深度地下では今後、リニア中央新幹線の工事が始まる。東京、神奈川、愛知の3都県の計約50キロが対象となる。

 地下の状態や、工事による影響は未解明な点がまだ多い。利用は安全性の確保が大前提だ。

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