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日中韓首脳会談 難局にこそ開催すべきだ

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 日中韓首脳会談の開催が見通せない。3カ国が持ち回りで議長となり、毎年開いてきたものだ。今年の議長国である韓国がソウルでの年内開催を目指したが、実現しなかった。

 菅義偉首相が出席に難色を示している。背景にあるのは、徴用工問題での日韓関係悪化だ。

 韓国では、元徴用工の訴訟で賠償を命じられた日本企業の資産が差し押さえられている。日本は、売却によって現金化されることを阻むよう韓国政府に求めてきた。首相訪韓の実質的な前提条件だ。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は最近、関係改善を模索する姿勢をアピールしている。ただ徴用工問題に関する日本との認識の差は依然として大きく、現実的な解決に近づいているわけではない。

 資産の現金化が実行されれば、日韓関係は根本から揺らぐことになる。日本が強い懸念を抱くことは理解できる。韓国に対しては今後も、前向きな対応を求めていくことが必要だ。

 だが、当事者ではない中国も入る多国間外交を駆け引きの材料に使うべきではない。

 日中韓首脳による協議が始まったのは1999年だ。当初は東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会合に合わせて行われたが、12年前から単独の会議として開かれるようになった。

 3カ国は、領土や歴史の問題で対立しやすい。だからこそ、テロ対策や環境といった共通課題での協力を通じて信頼を積み重ねようとする取り組みが行われてきた。

 日中韓の枠組みは、グローバル化の進展と中韓両国の経済成長を受けて重要さを増した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、協力の必要性はさらに高まっている。コロナ後の経済立て直しでも互いを必要とするパートナーである。

 多国間協議に応じようとしないのは、これまでの日本の外交姿勢とも矛盾する。

 尖閣諸島を巡る日中関係の悪化で、3カ国の首脳会談を開けなかった時期がある。日本は当時、懸案があるからこそ開くべきだと主張していた。

 コロナ禍や経済悪化などの難局にこそ、日中韓の首脳が向き合って話をすべきである。

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