菅義偉首相が10月26日の所信表明演説で、2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロを目標とすることを表明し、脱炭素社会実現のための取り組みが加速している。自民党の斎藤健元農相は、11月の臨時国会衆院予算委員会で質問に立ち、政府に環境技術の産業競争力を向上させるよう訴えた。環境政策がどうして産業政策になるのか。斎藤氏に話を聞いた。【聞き手・立野将弘】
今、人類は世界の森林が吸収できる量の倍以上の二酸化炭素(CO2)を排出し続け、温暖化の要因となっている。世界全体でカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出実質ゼロ)にするためには、排出量を現在の半分以上減らさなければならず、今までCO2を排出してきた先進国は大きな責任を負っている。
だが、各国で発生するCO2の量で見ると、日本は世界全体の3%しか出していない。最も排出量の多い中国が世界の4分の1を1カ国で排出し、排出量2位のアメリカと3位のインドを含めると、この3カ国で世界の排出量の5割になる。本当に地球温暖化対策を考えるならば、この3カ国の排出量をいかに減らすかが問題なのであって、日本が自国の排出量を減らしたところで、地球温暖化防止の観点からは大したことではない。
首相が宣言した50年までのカーボンニュートラルは、死に物狂いでその3%を無くす努力をするということだ。既に日本の鉄鋼業や自動車産業などは、これ以上絞れない雑巾ぐらいにCO2の排出量を減らしてきている。それを更にゼロにするのは非常に高いハードルだ。
それでも私は首相の宣言を高く評価したい。高い目標の実現には思い切ったチャレンジが必要で、いろんな…
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