毎日新聞
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視覚障害者に青信号を知らせるために整備された約2万4000基の音響式信号機のうち、8割超が音の出る稼働時間を制限していることが、全都道府県警への毎日新聞のアンケート調査で判明した。近隣住民への配慮や苦情などを受けて稼働を日中のみに制限しているケースが多い。稼働停止中に視覚障害者の死亡事故も発生しており、視覚障害者団体は国に安全策の拡充を求めている。
アンケートは12月までに都道府県警すべてから回答を得た。それによると、2019年度末時点で全国の信号機総数は20万8152基。うち音響機能付きは1割ほどの2万4367基にとどまり、稼働時間を制限しているのが84%(2万445基)を占めた。
管内に設置している音響式信号機のすべてで稼働時間を制限していたのは、秋田、山形、栃木、兵庫、徳島、福岡、長崎、沖縄の8県。一方、岩手、宮城、香川の3県は制限している信号機の割合が3~4割台と低かった。日本視覚障害者団体連合(日視連)によると、午後7時~翌午前7、8時に音が鳴らないように設定しているケースが多いという。
福岡や熊本、群馬など9県の計37基は終日音が出ないようにしていた。音響機能を停止した理由を聞いたところ、「騒音苦情」(高知)や「夜間がうるさい」(熊本)など住民の要望を受けたという回答が目立った。
また、駅や官公庁、福祉・商業施設、病院などを結ぶ経路で自治体が「生活関連経路」と指定した道路は法律でバリアフリー化が求められているが、その経路でも全国で計6189基が音響機能の稼働時間を制限していたことも判明した。
15年以降で把握している視覚障害者の歩行中の事故件数を尋ねたところ、死傷事故が全国で少なくとも77件発生。うち20件は音響式信号機のない横断歩道で起き、音響機能の稼働時間外で歩行者がけがをした事故が少なくとも2件あった。東京都豊島区の都道では18年12月、視覚障害のある男性(当時64歳)が稼働時間外で赤信号と気付かずに横断し、車にはねられて死亡する事故が起きた。
日視連の佐々木宗雅組織部長は「音響式信号機自体まだかなり少なく、生活関連経路の多くの場所で24時間稼働していないのは残念だ。障害者でも残業して帰宅が遅くなることはあり、障害者の社会活動を軽く見ている。事故が起きる前に改善してほしい」と訴えている。【田崎春菜】
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