毎日新聞
宮内庁は1日、新年に合わせた天皇陛下のビデオメッセージを公表した。陛下は新型コロナウイルスの感染拡大に直面する国民に対し、「安心して暮らせる日が遠くない将来に来ることを信じ、互いに思いやりを持って助け合い、支え合いながら、進んでいくことを心から願っています」と呼びかけられた。
陛下が国民に向けてビデオメッセージを出すのは初めて。皇居での新年一般参賀が中止となり、恒例のおことばがなくなったことを踏まえて決めた。
住まいの赤坂御所(東京都港区)で収録した映像は6分45秒にわたり、皇后雅子さまも同席した。陛下はメッセージの大半を新型コロナを巡る国民への思いに充てた。これまでの状況を「困難と試練」と位置づけ、犠牲者の家族に「お悲しみもいかばかりか」と哀悼の意を示した。医療従事者への敬意と感謝の意を改めて表し、経済的困窮者や、差別や偏見を受けている感染者らを案じた。
陛下は「感染拡大防止と社会経済活動の両立の難しさを感じます」とも述べ、「感染症が収まり、再び皆さんと直接お会いできる日を心待ちにしています」と話しかけた。メッセージでは2020年7月の九州豪雨の犠牲者遺族や被災者らを心配する気持ちも示した。
皇后さまは「皆様にとって少しでも穏やかな年となるよう心からお祈りいたします」と述べた。
新年の天皇、皇后による歌の公表は、20年は主要な地方訪問がなく、見送られた。1日に両陛下が皇居・宮殿で皇族や三権の長、各国大使らから新年のお祝いを受ける「新年祝賀の儀」は規模を縮小して行われる。
天皇の国民向けビデオメッセージは、上皇さまが2度行っているが、皇后が同席するのは初めて。小田部雄次・静岡福祉大名誉教授(近現代皇室史)は「両陛下が国民生活を深く心配していることが伝わってくる」とした上で、「象徴天皇制では国民との直接の交流が極めて重要で、ビデオメッセージは極めて異例の手段。陛下は即位から日も浅く、コロナ収束後には皇后さまと積極的に各地に出向いてほしい」と話した。【和田武士】
毎時01分更新
小中学校で「臨時教員」への依存度が高まっている。文部科学省…
米国のバイデン新大統領が就任し、注目されるのが米中関係だ。…
仙台支局の記者からバトンを受け継ぎ、福島支局の記者が福島県…