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「切れるカードが見当たらない」 東京感染者急増 医療体制は「破綻の危機」に

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主な自治体の新型コロナの病床使用率と10万人当たり陽性者数
主な自治体の新型コロナの病床使用率と10万人当たり陽性者数

 新型コロナウイルスのかつてない感染拡大が首都圏を中心に続き、東京都では31日、1日当たりの感染者数が1300人を超えた。都内では飲食店の営業時間短縮を延長するなど対策を強化してきたが、感染の収束は見通せない。逼迫(ひっぱく)する医療提供体制は、年末年始を挟み綱渡りを強いられている。

度重なる時短要請に事業者は疲弊

 「(医療提供体制が)破綻の危機にひんする可能性が非常に高い」。2020年12月30日、都モニタリング会議に出席した都医師会の猪口正孝副会長は危機感をあらわにした。会議では、現在のペースで感染者が増えれば、同29日時点で2274人だった入院患者数は、2週間以内に都が確保を見込んでいる病床数(4000)を超える試算も公表された。

 都は11月以降、感染者の急増を見越して1日あたりの感染者が1000人になっても患者を受け入れられるよう体制を整備してきた。新型コロナ患者用のベッドは4000床を確保するよう医療機関に要請し、65歳以上は原則入院としていた基準を変えて、基礎疾患がなく軽症や無症状なら70歳未満は宿泊施設での療養も可能にした。ただ、あの手この手で確保した病床数を感染者数が上回りかねないのが都内の現状といえる。

 感染拡大の防止策は、思うような効果が出ていない。会食の場で感染が広がった事例が多いことから、11月28日以降、都内の飲食店などに午後10時までの営業時間短縮を要請。クリスマスや年末年始への影響を避けるため、当初は12月17日までのはずだったが、感染拡大で1月11日まで延長した。しかし、忘年会シーズンにも重なり、繁華街の人出に大きな減少は見られない。

 ソフトバンクの子会社「Agoop(アグープ)」がスマートフォンの位置情報を基に推計したデータによると、金曜日の午後11時の人出は要請前日の11月27日を100とすると、12月25日は渋谷センター街で7ポイント減、港区の赤坂地区で1ポイント増などだった。時短要請は春と夏に続いて3回目。都幹部は「度重なる要請に都民や事業者が疲れてしまい、協力が得られにくくなっている」とみる。

 政府の新型コロナ感染症対策分科会は閉店時間を午後8時に前倒しするよう提言しているが、都は応じていない。事業者がついてこず、効果が見込めないとみているためだ。

 都幹部の間では手詰まり感も漂う。…

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