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夜明けを待って~コロナ禍を歩く

日本を愛したベトナム人青年 なぜ24歳で死ななければならなかったのか

秋田県内の現場でのチョンさん。人が嫌がる仕事まで率先して動く働き者だった=川崎さん提供

 小さな遺影の中で、青年がほほえんでいた。

 新型コロナウイルスの感染者が再び急増していた2020年11月、埼玉県内で営まれた葬儀。2年前にベトナムから来日した彼は勤務先の寮でひとり衰弱し、帰らぬ人となった。新型コロナ感染が疑われていた。

 グエン・ゴック・チョンさん。24歳。千葉県内の塗装会社の技能実習生だった。母国に一つ年下の妻と2歳の息子が残された。「優しくて、いつも笑っていた」。別れを惜しみ、目元を拭う人たちの姿があった。

 チョンさんは来日後、体調を崩すことが多かった。日本語が不自由で、病院には誰かに連れていってもらわなければならない。亡くなる前もへんとうの炎症や、貧血などの診断を受けていた。肺にも症状があり、10月のPCR検査は陰性だった。薬を飲めば熱は下がるが、数日後に発熱する日が続いた。

 どうして死んだのか、何を思ったのか。もう聞くことはできない。残されたチャット記録や遺族の証言などから、最期をたどった。

「重い病気」の訴えに「出勤か帰国」を迫られる

 11月4日(水)。出張先から千葉県内の本社2階にある寮に戻る。熱、せきがさらにひどくなる。

 5日(木)。会社の社長に「重い病気」と訴えると「出勤するか、帰国するか。病院に行っても治らない」。鎮痛剤を2錠飲み、仕事に出た。

 6日(金)。体に力が入らず、…

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大島祥平

2004年入社。大分支局を経て福岡運動部、東京運動部、19年から東京社会部。12年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪、18年サッカーワールドカップ・ロシア大会などを現地取材した。

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