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偽りの共生

極めて低い難民認定率、海外からも批判される入管施設での長期収容など、日本にいる外国人への対応には問題が山積しています。国が掲げる「多文化共生」の内実を問います。

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「ふん尿をまいて逮捕された」イラン人男性が語った入管生活の「限界」

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多くの外国人が長期収容されている東日本入国管理センター(牛久入管)の入り口=茨城県牛久市で2020年6月、鵜塚健撮影
多くの外国人が長期収容されている東日本入国管理センター(牛久入管)の入り口=茨城県牛久市で2020年6月、鵜塚健撮影

 東日本入国管理センター(茨城県牛久市、略称・牛久入管)に4年半近く収容されていたイラン国籍の男性(54)が2020年11月、自身のふん尿で牛久入管の施設を汚したとして建造物損壊罪で起訴された。長期収容で極度のストレス下にあり、「施設の医師から繰り返し嫌がらせを受けて、このままでは死んでしまう」とも訴えていた。支援者によると、同じようなことはこれまで何度も起きているという。人をそこまで追い込んでしまう入管での生活とはどんなものなのか。罪はどこまで問われるべきなのか――。男性との面会を重ね、考えた。【鵜塚健/統合デジタル取材センター】

 男性の名前はヤドラ・イマニ・ママガニ被告。県警牛久署の調べや本人の話によると、20年9月1日、牛久入管の2階にある医務室近くの待合室で、ビニール袋に入れた自身のふん尿をまき、壁や天井を汚し、44万2156円(その後増額)の被害を与えた疑いで牛久署に逮捕され、水戸地検による起訴後も牛久署の留置場で勾留されている。

 ママガニ被告は、日本での在留資格がないとして16年7月から牛久入管に収容されていた。20年春ごろから各入管は新型コロナウイルス感染拡大予防のため、徐々に被収容者の仮放免(移動制限など条件付きで一時解放する措置)を進め、「3密」解消を図っている。牛久入管でも300人程度いた被収容者が100人前後まで減ったが、ママガニ被告は対象外だった。仮放免の条件や基準を入管側は一切明らかにしていない。

「動物虐待やいじめも問題だが…」

 11月の逮捕前、ママガニ被告が支援者に送った直筆の手紙にはこう書かれている。

 「新聞やテレビを見ると、社会ではペットや野生動物の虐待やいじめ等に社会の皆様が関心をもって問題にしたり、取り上げられていますが、ここで収容されている難民達がどんなにひどい目にあっても虐待されていることもどうにもならないです」(一部略)

 ママガニ被告は牛久入管から繰り返し支援者に手紙を書き、収容生活の苦しみをつづっているが、その日本語の文章は「平素は格別のご厚情を賜り…」「どうか今後ともご指導ご鞭撻(べんたつ)の程(ほど)よろしく…」などと丁寧で、内容も論理的だ。

 支援者らによると、入管での生活は単調で自由がない。運動時間は1日45分だけ。18時間は部屋から出られない。反抗的とみなされると懲罰房に入れられる。ハンガーストライキも頻繁に起きており、体調を崩したり摂食障害になったりする人も多い。

 それでもなぜ自身のふん尿をまくまでに至ったのか。記者は牛久署3階にある面会室でママガニ被告と3回にわたり面会した。…

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