中国情報統制、パンデミック招く WHO調査を転機にできるか 天児慧・早大名誉教授

コロナ禍での中国の対応に、国際社会から批判が集まった。今年、創立100年を迎える中国共産党が一党支配する大国は、今後どのような外交を展開し、どこに向かうのか。天児慧・早大名誉教授(73)に聞いた。【聞き手・岡村崇】
――新型コロナウイルスの感染拡大から1年たちましたが、発生地となった中国の対応をどう見ていますか。
◆新型コロナを全世界に広げた原因の一つに、中国当局の情報統制がある。特に武漢市の状況が国内外でほとんど伝えられず、中国の一般の人々が国内外を自由に移動した。世界各国も十分な注意を払うことができないまま、中国からの旅行者を受け入れた。全世界で正確な情報を共有していれば、未曽有のパンデミック(世界的大流行)にならなかったと思う。発生源とされる中国には説明責任があるが、これまで客観的な方法で発生源を調査したり、責任の所在を明らかにしたりしていない。
ただ、中国政府は2020年1月20日に人から人への感染の事実を公表してからは、迅速で集中的な対策を行った。武漢一帯をロックダウン(都市封鎖)し、コロナ患者専門の病院を設置。さらに、広範にわたる都市の消毒作業やマスクの大量生産など、非常に効果的に行ったと思う。一方で、習近平国家主席が国内外に向け、「我々はコロナを克服した」と功績ばかりを強調するようになった。説明責任を果たさないまま「中国を見習え」と言わんばかりの姿勢は、国際社会に受け入れられるものではない。結果的に、世界中の人々が中国に対する不満を爆発させている。
――武漢市の医師、李文亮さんが、中国当局の公表前に新型コロナの危険性を訴えたものの、当局に抑え込まれました。
◆情報統制は、長年にわたる中国共産党の体質といえる。李さんへの対応の背景には…
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