特集

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスのニュース、国内での感染状況を報告します。

特集一覧

コロナで変わる世界

自由の国・米国を覆った「反規制」 営業禁止を破った理髪店主に集まる支持

なじみ客の髪を切るカール・マンキーさん=米中西部ミシガン州オワッソーで2020年10月14日、隅俊之撮影
なじみ客の髪を切るカール・マンキーさん=米中西部ミシガン州オワッソーで2020年10月14日、隅俊之撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大は、個人の自由を尊重してきた米国社会を根底から揺さぶった。拡大を抑止するため、個人の行動や経済活動を制限する行政命令への反発が、全米各地でわき起こった。

 「自分は何がしたいのか。それを選ぶのはこの国では自由だ。私は仕事をすることを選んだ」。中西部ミシガン州オワッソーの理髪店経営、カール・マンキーさん(78)は2020年5月4日、州による営業禁止令の延長が繰り返されたことに反発し、春から閉めていた店を再開させた。州当局はマンキーさんの理髪店のライセンスを剥奪し、命令に違反したとして軽犯罪などで訴追。だが、マンキーさんは営業を続け、長引く外出制限にいらだつ人々の支持を集めた。

 マンキーさんはこう強調する。「車のシートベルトを考えてほしい。着用せずに事故を起こしたらケガをするのは自分だ。誰も傷つけない。重要なのは着用するかしないかを選ぶのは自分だということだ。それがこの国では最も尊いことだ」

 ミシガン州では、グレチェン・ウィットマー知事(民主党)が早くから厳しい外出制限令を発令。マンキーさんは「合衆国憲法では、私たちが働く権利が認められている。州知事に私の選択をとやかく言う権利はない」と反発する。ウィットマー氏を11月の大統領選前に拉致し、州政府の転覆を図ろうとしていたなどとして民間武装組織(ミリシア)のメンバーらが訴追される事件も起きた。営業を再開したマンキーさんの店の前にも一時、ミリシアのメンバーが店を守ろうと集結した。

 「新型コロナは言われているほど深刻ではない」と主張するマンキーさんは、自分が感染すれば他人にうつすリスクがあるという科学的な根拠を軽んじている。だが、公衆衛生と個人の自由をてんびんにのせた時、どちらが優先されるべきなのかは「重要な問題」と考える米国人は多い。

 実際、州最高裁は6月、マンキーさんに「髪を切る権利がある」と判断し、剥奪されたライセンスは戻された。さらに州最高裁は10月、ウィットマー氏が議会の同意なしに緊急事態宣言を延長したことは、州法に違反すると判断。これを受け、マンキーさんへの訴追も取り下げられた。

 マスク着用を巡る論争も、個人の自由と規制がぶつかる象徴となった。当初、マスク着用に消極的だったトランプ米大統領でさえ、大統領選前に何度かマスクの着用を呼びかけ、自身のマスク姿を公開した。

 しかし、米国内の論争は終わっていない。…

この記事は有料記事です。

残り3120文字(全文4128文字)

【新型コロナウイルス】

時系列で見る

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

次に読みたい

あわせて読みたい

注目の特集