新型コロナウイルスで今夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックに向け、選手は難しい調整を強いられている。陸上男子ハンマー投げで五輪に4大会連続で出場し、昨秋からスポーツ行政のかじ取りを担うスポーツ庁の室伏広治長官(46)には、コロナに立ち向かう選手の姿はどう映っているのか。【聞き手・浅妻博之、写真・玉城達郎】
――東京五輪・パラリンピックが1年延期され、現役引退を決断した選手もいます。新型コロナウイルスの収束が見通せない中、半年後の大会に向けた現状をどう見ていますか。
選手強化拠点の味の素ナショナルトレーニングセンターや国立スポーツ科学センターでは、各競技団体が行動計画を作成することでトレーニングを続けられる環境を作っています。制限を設けながらも国内大会を実施し、スポーツを止めないように取り組んでいます。一歩一歩ではありますが、東京五輪・パラリンピックの成功に向けて前に進んでいます。ただ、アスリートが引退した話を聞くと延期の影響は計り知れないのだと感じてしまいます。
――室伏長官は41歳まで現役でした。競技を1年長く続けるのは難しいのでしょうか。
過ごし方によります。競技を続けるには周囲の協力が必要ですし、体の状態を維持するためのトレーニング環境にも個人差があると思います。張り詰めてきた気持ちを持ち直せずに辞めてしまう人もいるかもしれませんが、新しいことにチャレンジして身につけられる環境があれば、延期の時間は有効に使えます。トレーニングを工夫して競技の新たな価値や楽しみを見つけることで、気持ちの入れ方は変わってくるのではないでしょうか。
――国内大会は徐々に再開していますが、大会数が少ないため、選手は実力をうまく出せず悩んでいるように感じます。
対人競技は特に大変だと思います。選手にとって必要な…
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