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首相が緊急事態宣言へ もっと明確なメッセージを

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 新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、菅義偉首相が東京都など首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言を再発令する考えを表明した。

 首相は「より強いメッセージが必要だ」と述べた。だが、記者会見では発令に伴う具体的な施策について言及を避けた。これで国民にメッセージが届くだろうか。

 大みそかの31日に東京都の1日当たりの新規感染者数が1300人を超え、4都県で全国の感染者数の半数以上を占めた。重症者も増加傾向が続き、医療崩壊の懸念が強まっている。

 対策が急がれたが、一時は知事による営業時間短縮要請の強化が先か、政府の宣言発令が先かという、責任の押し付け合いのような状況が生じた。

 年明けに知事側が要請強化を受け入れる姿勢を示したことで、政府は発令に追い込まれたように見える。

目立つ責任転嫁の姿勢

 「第3波」は昨年11月に始まった。この間、対策を講じる十分な時間があったのにもかかわらず、政府の対応は鈍かった。

 旅行需要喚起策「GoToトラベル」の見直しに後ろ向きで、11月末からの「勝負の3週間」は失敗に終わった。その後の追加対策も中途半端で、首都圏の感染拡大は続いている。

 判断の遅れの背景には、首相が主導した「GoToキャンペーン」へのこだわりや、今夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催問題があったのではないか。感染対策で先手を打つことなく、再発令せざるを得ない感染状況を招いた責任は重い。

 宣言発令にあたっては、実効性を高めることが重要だ。

 今回、政府は自粛要請の対象を飲食店を中心に絞り込む考えのようだ。だが、ここまで感染が広がった以上、人の動きの抑制も検討せざるを得ないだろう。

 安倍晋三前政権も菅政権も、専門家の意見を軽視する場面が目に付いた。今回は、専門家の意見を十分に聞いて判断すべきだ。

 新規感染者がどの程度減少するまで宣言を続けるのか、あらかじめ基準を示しておくことも欠かせない。夏の「第2波」ではピークを越えても感染者数が十分には減少せず、「第3波」が拡大する要因の一つとなった。

 4月に宣言が発令された際は、国民の危機感が強く協力を得やすかった。今回は要請の効果が上がりにくくなっているとも指摘されている。

 もう一段の協力を得るには、どのようにして感染拡大を収束させようとしているのか、明確な戦略を示さなければならない。

 何より大切なのは政治への信頼だ。昨年、自粛要請の最中に首相や自民党の二階俊博幹事長が会食に参加して批判を浴びた。こうした姿勢では反発を招くだけだ。

国会はただちに召集を

 宣言と合わせてコロナ対策の特別措置法の改正議論も進めなければならない。

 全国知事会はこれまで、休業や営業時間短縮の要請に応じた店への協力金制度と、応じなかった店への罰則規定を盛り込むよう求めてきた。

 首相は昨年末にようやく、特措法改正に取り組む考えを示した。与野党は18日召集予定の通常国会で改正案を優先的に審議することで合意している。

 しかし、感染状況が深刻化する中、2週間も待つ余裕はない。政府・与党はただちに召集して、議論を始めるべきだ。

 気がかりなのは、首相が記者会見で「給付金と罰則をセット」にする考えを示したことだ。

 給付金は、既に一部の都道府県で導入されており、政府が財政支援している。これを法律に位置づけることについて、与野党の隔たりは小さい。

 だが、罰則は私権の制限に関わる。専門家による政府の分科会でも賛否両論が出ている。首相はこれを踏まえ慎重に検討する姿勢を示していたにもかかわらず、突然方針を変えたように見えるのは不可解だ。

 まずは与野党で早期に合意できるところから改正を始めるべきだ。罰則導入の是非で与野党が対立し、法改正の議論を停滞させてはならない。

 正念場を乗り切るためには、首相の強いリーダーシップが必要だ。その前提となるのは、国民からの信頼の回復だ。

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