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見つめ続ける・大震災10年へ

亡き父の言葉、成人した今も胸に 佐々木綾香さん

森林環境を学ぶことに喜びを感じる佐々木綾香さん。その学びをいつか故郷に役立てたい=東京都世田谷区で2020年12月29日、梅村直承撮影

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 布団で一緒に眠った時の父のぬくもりは覚えている。「でも、いろんな記憶がおぼろげなんですよ」。佐々木綾香さん(20)は下を向いた。宮城県石巻市で教師をしていた父の孝さん(当時37歳)は、東日本大震災の津波で犠牲となった。祖父の末雄さん(当時72歳)も自宅と共に流された。家族のビデオや写真も失い、10年近い月日が思い出にもやをかけていく。

「子ども国会」に臨み強いまなざしで父孝さんへの思いを訴えた綾香さん=国会内で2012年7月29日、梅村直承撮影

 「よく小学4年生の自分に耐えられたと思います。逆に心が成長した今なら耐えられなかったかも」と振り返る綾香さん。11歳の時、国会議事堂で行われた「子ども国会」に招待された。父の無念を訴え「亡くなった父が私に生きる力を与えてくれている」と話した。

「大切な人、生き物をこれ以上失いたくない」。高校生になった綾香さんは絶滅危惧種を守る仕事に興味を持っていた=宮城県石巻市で2016年6月20日、梅村直承撮影

 東京の大学に進み1人暮らしをする今、その頃よりも喪失感は大きいという。成長した今の感性で話したい。もう一度甘えたい。部屋にいると胸に迫ってくる時がある。「とにかく、生きていてほしかったなあ」

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、祖母や母、弟を思い正月には帰省しなかった。成人式への参加も取りやめた。それでも大学3年となる4月から「森林環境」を専門的に学ぶことが楽しみだ。将来はその経験を生かし、被災した故郷に貢献したい、という思いも育ってきた。

 優しかった父なのに、不思議と記憶に残っているのは「丁寧に」「真剣に」など注意されたことばかり。その言葉たちがこれからも、成人を迎えた綾香さんの背中を押していく。【梅村直承】

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