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甲信・百鬼夜行

「疫病」や「恐れ」の象徴として社会に浸透してきた鬼。我々のごく身近な存在となっている鬼にまつわる話を紹介する。

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甲信・百鬼夜行

/6 山梨・大月桃太郎伝説 人の心に宿る鬼 不寛容さ、孤独感伝える /長野

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「鬼の岩屋」の前で大月桃太郎伝説を説明する大窪恭子さん=山梨県大月市で2020年12月14日、山本悟撮影
「鬼の岩屋」の前で大月桃太郎伝説を説明する大窪恭子さん=山梨県大月市で2020年12月14日、山本悟撮影

 大きな一枚岩が口を開けたような洞穴の暗がりから水がしたたる音がかすかに響く。山梨県大月市のシンボル、岩殿山(634メートル)の登山道近くに「鬼の岩屋」(正式名・新宮洞窟)はある。同市と上野原市を舞台とする「大月桃太郎伝説」で赤鬼が住んでいた場所だ。

 地元住民から伝説の聞き取りを続けてきた版画家、和田定夫さん(75)=大月市=によると、大月桃太郎伝説とは以下のようなものだ。

 桃太郎は岩殿山から北東3キロの百蔵(ももくら)山(1003メートル、同市)のふもとで桃の実から生まれる。やがて成長した桃太郎は村の牛や馬を食べてしまう赤鬼退治を決意し、犬目(同県上野原市)、鳥沢(大月市)、猿橋(同)でそれぞれ出会った犬、キジ、猿を従え、岩殿山に向かう。迫る一行に赤鬼は石杖(いしづえ)を投げつけるが届かず、近くの徳厳山(とくがんさん)に逃れようと足を掛けたところ股が裂けて自滅、村…

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