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条約で核兵器なくせるか

遠い廃絶 私たちは現実とのギャップをどう乗り越えればいいのか

 核兵器禁止条約が採択されたニューヨークの国連本部=2015年9月27日午後1時42分、和田浩明撮影

 核兵器の保有や使用を全面禁止する核兵器禁止条約が1月22日に発効する。「核兵器の全面的廃絶に向けた意義深いコミットメント」(グテレス国連事務総長)と評価される同条約だが、米露など核兵器保有国は参加せず、日本を含む「核の傘」に入る各国も支持しないなど、核廃絶への道のりは遠いのが実情だ。世界で約1万3000発と推定される核兵器をなくすため、国際社会はどのように歩んでいくべきなのか。核軍縮や核不拡散の問題に詳しい一橋大国際・公共政策研究部の秋山信将教授に聞いた。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

核禁条約 推進派と反対派のギャップ

 ――核兵器禁止条約が22日に発効します。核兵器廃絶に向けてどのような意義があるのでしょう。

 ◆考えるべきことがいろいろあると思います。この条約によって「核兵器を禁止する国際法ができた」という言い方をする人がいますし、「核兵器禁止の法的基盤ができた」と主張するNGOもあります。もちろんそう主張したい気持ちはわかるのですが、現実はそこに至っていないと考えています。

 まず核兵器禁止条約は、非加盟国を縛るものではありません。さらに、この条約によって示された規範が国際慣習法となりうるかという点についても、そうはなっていないと見ています。慣習法とは、非加盟国すらも従う義務を負う、もしくは法的に正当と認められるような一般的な慣行のことです。核禁条約については、条約を規定する重要な価値を主要な関係国が認めないと言っているわけですから、現状では非加盟国にも適用されうる国際慣習法とは言えません。

 そもそも核兵器の廃絶に向けて、この条約がどんな効果をもたらしうるかという評価を巡っても、核禁条約推進派とそうでないグループとの間にギャップがあると思います。核禁条約が、核兵器廃絶の手段なのか、それとも核廃絶という最終的なゴールを指し示す理念的なものなのか、という議論です。

 核兵器の廃絶を試験に例えると、この条約は…

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和田浩明

1991年4月入社。英文毎日編集部、サイバー編集部、外信部、大阪社会部を経て2003年10月から08年3月までワシントン特派員。無差別発砲事件、インド洋大津波、イラク駐留米軍や大統領選挙を取材。09年4月からはカイロに勤務し、11年1月に始まった中東の民主化要求運動「アラブの春」をチュニジア、エジプト、リビア、シリア、イエメンで目撃した。東京での中東、米州担当デスク、2度目のワシントン特派員などを経て2019年5月から統合デジタル取材センター。日本社会と外国人住民やLGBTなどの今後に関心がある。

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