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大学入試分析

初の共通テスト直前最新動向「2021年入試はこうなる」 駿台・石原賢一さんが展望

いしはら・けんいち 京大工学部卒業後、駿台予備学校に入職。学生指導、高校営業、カリキュラム編成を担当後、神戸校校舎長、駿台進学情報センター長を経て、2017年4月より現職

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 大学入試センター試験に代わる大学入学共通テストが1月16日、17日の日程で行われる。制度の変更に新型コロナウイルス禍が加わって、受験生にとっては苦労の絶えない入試となり、これまでにない安全志向の入試になりそうだ。そこで、共通テスト直前の最新動向について、入試分析のエキスパートである、駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長に聞いた。【中根正義】

 ――最初に、共通テストの動向について教えてください。

 志願者総数は53万5245人で、昨年のセンター試験と比べると2万2454人、4.0%減。センター試験時代を含めて過去最大の減少になります。その内訳をみると現役生は2440人、0.5%の減少にとどまりましたが、浪人生は1万9369人と19.3%の減となっています。浪人生が大きく減っているのは、入試制度が変わることを警戒し、浪人を避ける選択をした受験生が多かったことが影響しています。

 模試の動向を見ると、今年も受験の安全志向は見られ、短大や専門学校を志望校として書く受験生が増えています。ただ、浪人が減ったこともあり、今年の入試は現役生にとっては有利な入試になるはずです。それだけに最初に強調しておきたいのは、センター試験から共通テストへの衣替えやコロナ禍の中での入試で、受験生には不安が大きいですが、安易に志望校を下げることなく、希望している大学や学部があるなら、積極的にチャレンジしてほしいということです。

緊急事態宣言再発令で地元志向に拍車

 ――コロナ禍の影響で、昨年以上に受験生の地元志向が強まっているようですね。

 今年度は都市部の多くの大学で遠隔授業を余儀なくされました。地方から都市部の大学に入学した学生は、授業が遠隔授業で行われたこともあり、地元に帰り授業を受けている学生も多くいます。そうなると、都市部の大学にわざわざ入学する必要もありません。

 感染リスクを避ける意味からも地元志向が強まっています。1都3県で再び緊急事態宣言が発令され、その傾向がさらに強まりそうです。ちなみに、駿台予備学校が12月13日に行ったプレ共通テスト模試によると、国公立大の学部別志望動向は前年と比べ、減少幅が大きくなっています。国公立大の入試は共通テストのウエートが大きいだけでなく、これまでのセンター試験に比べて負担感が大きくなっていることも国公立大の不人気に影響しているようです。

 ――国公立大の学部系統別の志望動向に変化はありますか。

 プレテストの志望動向を見ると、減少幅が大きいのが、スポーツ・健康、国際関係、教員養成・教育、歯学、人文科学、経済・経営・商学、保健衛生などです。一方、外国語、法、医学、工、農・水産などは堅調です。ちなみに、コロナ禍で景気動向が不透明さを増しています。そうなると就職に強い理工系学部の人気が出てきますが、コロナの感染拡大は昨年春からのことだったので、すでに文理分けが終わっていた現3年生で文系から理系に転じることはなかなか難しく、理系学部人気が出てくるのは来年(22年)以降の入試となるでしょう。一方、文系学部の中で法学系は景気動向に左右されにくい学部の一つですが、近年、人気がありませんでしたが、ここに来て急に回復してきています。

 ここで11月に実施した模試から、国公立大の個別の状況を見てみましょう。東大や京大などの難関大志望者は堅調です。これらの大学の多くは個別試験重視の配点であることとも関係があります。ただ、共通テスト重視の配点となっている神戸大は共通テストへの不安が志望動向に表れており、志願者を減らしそうです。また、筑波大やお茶の水女子大、横浜国立大といった首都圏の大学で減少が目立っています。その中で千葉大は個別試験重視の学部が多いことから難関大からの志望変更の受け皿となっているようです。横浜国立大は共通テストのみで合否が決まることを早くに打ち出しましたが、今のところ個別試験がなく逆転が望めないこともあり人気がありません。

 新潟大や金沢大、岡山大、広島大、熊本大といった地方の総合大学は堅調な動きです。これはコロナ禍での地元志向とも関係がありそうです。また、大都市圏の横浜市立大や大阪府立大、名古屋市立大などは受験生の安全志向もあり、前年並みに志願者を集めています。なお、関東地区にある、このほかの国公立大は、地方の受験生の地元志向に加え、共通テストの負担増から敬遠される傾向が強いようです。

入試方式変更の私立大は志望者減に

 ――私立大の動向はいかがでしょうか。

 入試方式を大きく変える大学は志望を大きく減らしています。早稲田大政経学部、国際教養学部、スポーツ科学部で共通テストを課す方式に変更していますが、いずれも志望者を減らしています。一方で共通テスト利用方式を廃止し、一般方式に変更した商学部は増えています。共通テスト利用入試を拡大した上智大、青山学院大も減少幅が大きくなっています。立教大は文学部以外で共通テストの英語または英語外部試験が必須ですが、全学部入試の拡大と試験日複数選択制が浸透してきたことで、昨年のような落ち込みはなさそうです。入試改革に慎重な明治大や法政大は堅調です。

 一方、関西圏では関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)の志願者が受験生の安全志向で減少傾向にあるのですが、関西学院大は神戸三田キャンパスの学部改組の効果もあり、それほど志願者を減らしていません。

 私立大では、コロナ禍での地元志向、安全志向で茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県の大学での志願者が増えそうです。一方で東京都や神奈川県の大学の減少が目立ちます。関西では桃山学院大、神戸学院大、阪南大、大和大などが安全志向の受け皿となっているようです。

 最後に医学部医学科の状況ですが、国公立大はコロナ禍への対応として面接を取りやめた名古屋大が大幅増加しています。私立大は、学費を値上げする東京女子医大以外は、どこも激戦となっています。今回の入試までは定員増が続きますので、最後のチャンスといえるでしょう。

安易な志望変更は禁物。積極的なチャレンジを

 ――コロナ禍の中、本格な入試シーズンに突入しましたが、この時期にこころがけておきたいことはどういうことでしょうか。コロナ禍ということも踏まえてアドバイスをお願いします。

 まずは入試直前の体調管理が最重要となります。コロナ禍ということもあり、マスク着用、手洗い、うがいといった感染予防の基本を徹底し、遠隔地に移動しての受験の際も、食事をする時は、できるだけ多くの人が集中する場所を避けるといった工夫も必要です。

 なお、各大学ともコロナ対策として、入試直前までいろいろな対策を行っています。志望校のホームページのチェックは最後まで怠らないようにしましょう。そして、共通テスト受験者は、まずは共通テストを重視してほしい。コロナ禍で最悪の場合には個別試験の実施がなくなり、共通テストの成績での合否判定となる大学もあるので、たとえ初日の教科で失敗しても、最後まで全力を尽くして、1点を重ねる努力をしてほしいと思います。

 今年は、共通テストが初めて行われるだけでなく、私立大でも新方式の入試が実施され、今まで見たことのない出題が予想されます。ただし、条件は受験生全員が同じです。慌てたり、焦ったりすることは禁物です。落ち着いて対応してください。

 ところで、今年は共通テスト後の自己採点が例年以上に重要になりそうです。コロナ禍で自己採点集計への高校一括参加ができないところもあると聞くので、個人参加になっても主要な自己採点集計にはキチンと参加して、客観的なデータに基づく国公立大出願をしてほしいです。

 最初にも述べましたが、1都3県での緊急事態宣言の再発令もあり、もともと模試動向に見られた安全志向にさらに拍車がかかる状況です。だからといって、ずっと目指してきた志望校を簡単にあきらめるのは得策ではありません。難関大敬遠の動きがあるだけに、最後まで諦めず、果敢にチャレンジしてください。

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