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社説

トランプ派の議会乱入 民主大国の歴史的汚点だ

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 目を疑う暴力と混乱が、米国の連邦議会議事堂を襲った。

 バリケードを破って乱入するデモ隊、鎮圧しようと催涙ガスを噴射する警官隊、防護マスクを着けて安全区域に駆け込む議員、場内を占拠し闊歩(かっぽ)する暴徒――。

 民主党のバイデン次期大統領を正式承認する会議中の出来事だった。暴徒は大統領選の「不正」を主張するトランプ大統領の支持者たちだ。議事妨害が狙いだろう。

 警官隊が増派され、事態は収束に向かったが、発砲などで数人が死亡する流血の事態となった。

 権力の民主的な移行を暴力で阻止しようとする試みは前代未聞である。民主大国として世界の範たる米国の歴史的な汚点となろう。

 一義的な責任は暴徒にある。だが、けしかけたのはトランプ氏だ。直前にホワイトハウス前に集まった支持者に「議事堂に行くぞ」と抗議行動を呼び掛けていた。

 これが発火点となり、ツイッターで拡散されたという。暴動後もツイッターでデモ隊を「偉大な愛国者」と呼んだ。

 ソーシャルメディアを通じて増幅した怒りに歯止めがきかず、暴力へとエスカレートしたのが実態だろう。暴動の大きな責任がトランプ氏にあるのは明らかだ。

 米メディアによると、複数の政権高官が抗議の辞任をし、何人かの閣僚は憲法に基づく大統領免職を協議するという異様な事態だ。

 トランプ氏ばかりではない。根拠のない「選挙不正」の主張に賛同した共和党議員も同罪だ。

 選挙結果に異議を唱える共和党議員は大勢いた。トランプ氏の影響力を恐れたりしたようだ。だがこの日の会議でバイデン氏の次期大統領選出は揺らがなかった。

 上院のジョージア州決選投票では民主党が改選2議席を制した。共和党は下院に続き主導権を失うというツケを払うことになる。

 今回の暴動を大統領経験者や与野党の議員が「第三世界のようだ」と表現した。残念だが、それが米国の現実ではないか。

 同盟国にも驚がくが広がる。ジョンソン英首相は「不名誉なことだ」と嘆いた。中国やロシアなど敵対国は米国の民主主義の弱体化をほくそ笑んでいるに違いない。

 トランプ政権はあまりに大きな裂傷を米国政治と社会に残した。

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