東京都と神奈川、埼玉、千葉3県を対象に緊急事態宣言の再発令を決めた。期間は来月7日までの1カ月間だ。
東京都の1日当たりの感染者数はきのう2400人を超えた。遅すぎる発令で、この間の対策が後手に回った責任は重い。
宣言の対象を1都3県に限った判断には疑問が残る。愛知県や大阪府などでも感染者数は高止まりしており、対象に含めるよう求めている知事もいる。政府は速やかに対応すべきだ。
宣言に伴う対策は、飲食店などへの営業時間短縮要請の強化が柱となる。要請に従わない場合は知事がより強い「指示」を出すことができ、店名の公表も可能になる。人と人との接触を減らすため、企業にテレワーク強化を要請し、イベントの人数制限も強化する。
宣言の実効性を高めるためには、自粛要請とセットとなる支援策の充実が肝心だ。事業者への「協力金」は増額されるが、家賃支援の給付金や従業員を休業させた企業への雇用調整助成金の特例などは1~2月に期限を迎える。予備費の活用などで、切れ目のない対策を取ることが欠かせない。
飲食店以外でも、劇場や映画館など経営に影響を受ける事業者への支援が必要だ。
宣言解除の判断にあたり、政府は感染状況が「ステージ3」(感染急増)相当まで改善していることを目安にするという。西村康稔経済再生担当相は、東京都で1日当たりの新規感染者数が500人を切ることなどを例示した。
妥当な基準と言えるのだろうか。「第3波」は新規感染者数が十分に下がり切らない中で始まり、ここまで拡大した。その教訓を忘れてはならない。
東京都で新規感染者数が300人を切る「ステージ2」になるなど、再拡大が抑えられるレベルを目指すことが必要だ。
宣言期間中は、人出の減少傾向や医療機関の逼迫(ひっぱく)状況を注視し、必要があれば速やかに対策を強化しなければならない。政府は各知事と緊密に連携すべきだ。
医療現場からは、医療崩壊はすでに始まっているとの声が上がる。徹底的に感染者数を抑え込まなければならない。この1カ月が「第3波」収束への正念場だ。