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トランプ米大統領の支持者が連邦議会議事堂に乱入した6日の事件で、20日に退任するトランプ氏の動向に注目が集まっている。残りの在任期間中に強大な大統領権限を有効活用するとの見方もあり、退任後の訴追を回避するために自身の恩赦に踏み切るとの観測も広がっている。
「今は癒やしと和解を必要とする時だ」。トランプ氏は7日夜、ツイッターに投稿した演説動画で、バイデン次期大統領への円滑な政権移行を約束した。昨年11月の大統領選後、開票結果を受け入れずに「投票で不正があった」などと根拠の乏しい発言を繰り返し、対立をあおり続けたトランプ氏。動画では「即座に州兵を展開し、侵入者を追い払った」などと述べ、自らが乱入事件に対応したことを強調した。
トランプ氏は大統領選後、ほとんど公務を入れず、訴訟を連発するなど選挙結果を覆すことに専念してきた。敗北を受け入れ、バイデン氏への政権移行を認めた今、浮上しているのが退任後の予防的な訴追対策だ。
米紙ニューヨーク・タイムズは7日、関係者2人の話として、トランプ氏が側近らに対し20日までに自分自身の恩赦をすることを提案していると報じた。退任後に法執行機関によって標的にされることを懸念しており、実際に恩赦を実施した場合の法的、政治的な影響について相談しているという。
だが大統領が自らを恩赦した例は過去になく、法律専門家の間でも有効性の見解は分かれている。トランプ氏は2018年、ロシア疑惑の特別検察官による捜査の際に「私には自分自身を恩赦する完全な権利がある」と主張した経緯がある。
トランプ氏は大統領選以降、ロシア疑惑で虚偽の供述をした罪などに問われたフリン元大統領補佐官ら40人以上の恩赦・減刑を実施している。退任前の大統領による恩赦は慣例とされるが、トランプ氏の恩赦は司法省の推薦リストに基づくものではない。タイムズ紙は米ハーバード大教授の集計として、トランプ氏のこれまでの恩赦・減刑計94件のうち、約9割がトランプ氏との個人的なつながりがあると指摘している。
米国の歴代大統領では、1974年にウォーターゲート事件で辞任したニクソン氏に恩赦が与えられたケースがある。ただ、この時は後任のフォード氏が恩赦を決めており、大統領が自身にその権限を行使した例はない。【ワシントン鈴木一生】
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