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大阪知事「天井突き抜けた」 緊急事態要請 兵庫、京都知事も危機感

対策本部会議で緊急事態宣言発令の要請を決定し、記者の質問に答える吉村洋文大阪府知事=大阪市中央区で2021年1月8日午後3時37分、北村隆夫撮影

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 新型コロナウイルスの緊急事態宣言は8日、大阪、兵庫、京都の3府県も国に再発令を要請することを正式に決めた。同日の新規感染者数は3府県とも過去最多で、大阪では3日連続の更新で654人を記録し、医療関係者の危機感は強まるばかりだ。増加の背景には年末年始の会食もあると分析され、発令されれば首都圏と同様、飲食店は午後8時までの営業時間短縮を求められることになる。店主らに嘆息が広がる一方、「宣言は当然で遅すぎる」と政府や自治体の対応を批判する声も聞かれた。

関西3府県の新規感染者推移

 「(新規感染者数が6日に500人を超え)天井を突き抜けた。次も(過去最多を)超えるだろう。東京でも『2400人』との報道があり、ステージが変わったと思った」。大阪府の吉村洋文知事は8日の府対策本部会議後、記者団に、緊急事態宣言の再発令要請に方針転換した際の心境をこう振り返った。

 この日の会議は「想定外」の報告が相次いだ。藤井睦子・健康医療部長は「若者に感染が広がっており、新たな感染拡大の局面に入った」と危機感を示した。今月1~7日の1週間の新規感染者は前週比1・38倍に急増し、府の想定から大きく「上振れ」。特に30代以下が増加に転じた。年代別の構成割合を12月13~26日(14日間)と12月27日~1月7日(12日間)で比較すると、30代以下は37・2%から45・1%と約1・2倍に。40代以上の感染者数が減る中で、30代以下は1516人から1771人に増えた。

 感染拡大の可能性としてクローズアップされたのが、年末年始の過ごし方だ。府によると、12月26日~1月6日にカラオケやパーティー、飲み会や会食など年末年始に増えるイベントがらみで感染が確認された人数は、約300人に上った。クリスマスや忘年会などのほか、自宅での飲み会も含まれる。また、新規感染者に占める「夜の街」関連の割合も、6日までの11日間で6・0%から8・9%にやや増加し、大阪市内の飲食店への営業時間短縮要請が始まった昨年11月27日の水準に戻りつつある。

緊急事態宣言の発令を政府に要請することを決めた対策本部会議で話す吉村洋文大阪府知事=大阪市中央区で2021年1月8日午後3時、北村隆夫撮影

 医療の専門家は同会議にコメントを寄せ、現状に対する見解を示した。朝野和典・大阪大教授(感染制御学)は「年末年始に接触が多くなったことで感染機会が増えたと考えるのが合理的。このまま続けば高齢の感染者や重症者が増加し、厳しい病床の逼迫(ひっぱく)を迎える」と指摘。今後の感染者数は「何もしなければ指数関数的な(急激な)増加に転じる可能性もある」とさらに深刻化する可能性に言及した。りんくう総合医療センターの倭正也・感染症センター長は「食事中にマスクをしない時間がわずかでも、感染している例もある。以前に比べて感染力の高まりを疑わざるを得ない」とし、このままの状況が続いた場合「2週間後には本当に入院病床がなくなる可能性が高い」と危機感を示した。

 この日は京都府と兵庫県でも対策本部会議が開かれた。京都府は府内の12月の感染者2132人を分析。会食で感染した人が435人(推定含む)おり、2次感染も含めると全体の29%に当たる623人が会食に起因していた。西脇隆俊知事は会議後の記者会見で「日常生活の中で感染拡大が進んでいる」と述べた。府は、家庭でも外部の人との会食を控えるよう促すなど、より強く自粛を求める方針。兵庫県の対策本部会議では、井戸敏三知事が、緊急事態宣言の発令を待たずに一部飲食店への営業時間短縮要請に踏み切った理由について「(宣言が)直ちに発せられるか分からないからこそ、対策を講じておく必要がある」と述べ、危機感をにじませた。【近藤諭、芝村侑美、大川泰弘、藤顕一郎】

店主ら「営業できないに等しい」

 神戸市中央区の中華街・南京町。同商店街振興組合理事長の曹英生さん(64)は緊急事態宣言による営業時間短縮要請について「酒を出す飲食店には営業できないに等しい」と語る。経営する豚まん店「老祥記」の売り上げは例年の半分未満で、「収束すればお客さんが戻ると信じるしかない」。商店街は2月11日から4日間、中国の旧正月を祝う「春節祭」のイベントをオンラインで行う予定だ。

 JR三ノ宮駅近くの居酒屋の店長、三井弘樹さん(29)は「宣言が出れば客足が遠のき、時短営業で売り上げも減って厳しくなる一方だ」と話しつつ、「中途半端な時短要請が一番困る。補償とセットの休業要請の方がいい」と訴えた。

 京都市でカフェを営む女性(73)は2020年春の宣言時は客の減少を見込んで休業したが、「今回はまだ決めていない」。営業は昼だけで、収入を安定させるため夜の営業も検討していたというが、宣言が出れば時短要請が見込まれ、「今の状況では新しいことはできない」と打ち明けた。

 一方、政府や自治体の対応の遅さを批判する声もある。同市の弁当屋の60代の男性店主は「対策が小出しに過ぎる。もっと徹底的な対策で感染を食い止めなければならず、宣言は必要と思う」と話した。神戸市長田区の無職の男性(74)も「関西圏も早く宣言を出すべきだ。国や自治体の対応は遅すぎる」と述べた。

 「一度経験しているので不安感は少ない」と語るのは京都市内の大学院生の男性(26)だ。20年春の宣言時は研究室の密集を避けるため、使用時間を分けるなどしたという。学会の多くがオンライン開催となり、懇親会などで人脈を広げる機会が失われたというが、「置かれた状況でできることをやるだけだ」と冷静に受け止めていた。

 医療従事者は宣言の効果を切実に期待する。重症患者を受け入れる大阪府の臨時治療施設「大阪コロナ重症センター」で勤務する今別府三鈴さん(33)=大阪府豊中市=は「感染者が急増し、2週間後には重症者も増えて医療機関は大変になる。春に宣言が出て感染者が減ったのと同じくらいの効果が出れば」と話す。

 センターが稼働した20年12月から重症者の治療に当たっているが、1年近くコロナ患者に対応している同僚もいるという。「防護服などを着て作業するのは大変。患者を助けたい気持ちはあっても、このまま数が減らなければ気持ちが切れても仕方がない」と語った。【韓光勲、中田敦子、添島香苗、近藤諭】

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