メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

恋ふらむ鳥は

/193 澤田瞳子 画 村田涼平

 

「そんなはずはないでしょう。私は背の君から聞いて、知っているのよ。そなたの目には、この世のすべてが濃淡ある墨色にしか映らぬのだと。そなたがいつも奇妙な色合わせの衣を着ているのも、それゆえなのでしょう」

「なんとまあ、ひどいことを仰せですこと。大(おお)海人(あま)さまは誰にも胸襟を開くお方でいらっしゃいますが、一方で他人に対してお言葉が過ぎる折もおありです。おおかた讃良(さらら)さまがわたくしのことをお嫌いと察しられ、ご歓心を買おうと、ついつい要らぬ偽りを仰(おっしゃ)ったのではありませんか」

 大海人の気性に関しては心当たりがあると見え、讃良が一瞬言葉に詰まる。額田は己の衣の胸元を、指でつまんだ。

この記事は有料記事です。

残り785文字(全文1086文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 「市にうそつきと思われショック」児童扶養手当、突然の打ち切り 元夫の意外な行動

  2. 新型コロナ 特措法改正案 まん延防止措置、修正 自民、発動厳格化検討

  3. 野田聖子氏、岐阜県連会長辞任を表明 保守分裂の知事選、「父と娘」の代理戦争

  4. 「地域から協力金集めて慰安旅行」 幽霊消防団員巡り告発続々 地域社会にあつれき

  5. 余録 米国でスペインかぜが…

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです