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科学取材の経験が豊富な青野由利専門編集委員のコラム。

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8割おじさん再び=青野由利

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 「8割おじさん」こと、理論疫学者の西浦博さんのシミュレーションが再び注目を集めている。そのことが事の深刻さを象徴しているように感じる。

 ここから浮かぶのは、対策や人々の行動の変化が中途半端だと東京の感染者は一定期間で十分に減らず、医療も経済もダメージが長びくということだ。

 昨年12月中旬以降、東京で1人が平均何人の人に感染させるかを示す実効再生産数は1・1ぐらい。飲食店の時短営業などに限定した弱い対策だと、これが1をわずかに割る程度で、東京の新規感染者はほとんど減らない。

 一方、実効再生産数を0・7程度まで下げると1日当たりの感染者数が2月末に100人を下回る。これには昨年4月の緊急事態宣言と同程度の接触削減が必要で、今回の宣言前に比べると3・5割の削減。対策がこれらの中間程度だと減少も緩やかで、3月末で200人台にとどまる。

 以上が、西浦さんが昨年のデータを基に計算した予測シナリオ分析の概略だ。

 では、どこまで下げることを今回のゴールとすべきなのか。政府の基本的対処方針では、解除の条件は…

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