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コロナで変わる世界

株価最高値に沸く街の食料配布に長蛇の列 タワマンの足元走る料理宅配 無視できぬ格差

フードバンクの食料配布の列に並ぶ人々=米ニューヨークで2020年12月22日、隅俊之撮影

 米東部ニューヨーク市クイーンズ地区。2020年12月22日朝、気温3度で冷たい風が吹く中、無料で食料を配る「フードバンク」が開かれるキリスト教会の前には、新型コロナウイルス感染拡大で職を失うなどした人たちの長い列ができていた。その先の角を曲がっても、次の角を曲がっても、手押し車や大きな袋を抱えた人の列が続く。2時間以上待っている人もいる。そこには、これまで食事に困ることのない生活を送っていた「中間層」の姿もあった。

 午前10時、教会の支援団体「ボイシーズ・オブ・ハガー」のボランティアが黄色の袋に詰め込んだ食料を配り始めると、並んでいた人々は安堵(あんど)の表情を浮かべた。鶏肉や野菜、リンゴ、パスタや米、トマトソース。3人家族が3日間ほど暮らせる量だという。

「失業保険も切れる。もうプライドは捨てるしかない」

 その列の中に、マンハッタンにある大手金融機関の社員用レストランでシェフをしていたウィリアム・デベレスさん(58)がいた。新型コロナウイルスの感染拡大で社員が在宅勤務になったためレストランが閉鎖し、失業した。約7万ドル(約730万円)あった年収はゼロになった。今は、失業保険とフードバンクの食料が家族4人の生活を支える生命線だ。

 「自分は中間層だと思っていた。だが、今はちょっとした支払いも遅れる日々だ」。20件以上の求人募集に応募したが、新たな働き口は見つかっていない。「まもなく失業保険も切れる。もうプライドは捨てるしかない」

 このフードバンクでは新型コロナの感染拡大前、週1回の食料配布に並ぶのは100人程度だった。だが、感染が深刻化した20年春以降は人が増え、一時は600人程度が並ぶこともあった。担当者のソーニャ・ハービーさんは「もともとは貧困層の食事を補完するものだったが、失業者が増え、それどころではなくなっている。複数のフードバンクを渡り歩く人もいる」と話す。

 ニューヨーク市内にはフードバンクが1000カ所以上あるが、同じような光景があちこちで見られるようになった。…

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岡大介

1982年東京生まれ。2007年毎日新聞入社。東芝不正会計、東電改革、コインチェックの仮想通貨大量盗難事件、財務省の公文書改ざん&次官セクハラ発言問題、GAFA規制など取材。共著に「AIが変えるお金の未来」など。酔うとすぐ寝る。ツイッター @oka_mainichi

福富智

2011年4月入社。長野支局、松本支局、東京本社情報編成総センターを経て、2019年5月から京都支局。

隅俊之

2000年入社。広島支局、神戸支局、大阪社会部、上海支局を経て、19年4月からニューヨーク支局。

中井正裕

1975年京都府生まれ。立命館大学法学部卒。2000年毎日新聞入社。岐阜支局、中部報道センターを経て、09年から経済部で電力改革、貿易交渉、日銀などを取材。政治部にも在籍し、首相官邸、自民党などを担当した。18年10月から現職。

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