金委員長は「自信をなくして」いるのか 三重苦の中開かれた北朝鮮党大会の実態

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金正恩・朝鮮労働党委員長=大前仁撮影
金正恩・朝鮮労働党委員長=大前仁撮影

 北朝鮮で5年ぶりに開かれた朝鮮労働党大会で、金正恩(キムジョンウン)党委員長が経済再生の道筋として示したのは「自力更生、自給自足」だった。一方で、核戦力の強化を表明。バイデン米次期政権の発足が20日に迫る中、北朝鮮を取り巻く内外の現状は。【ソウル渋江千春】

経済制裁、国境封鎖、水害被害の「三重苦」 経済不振否定できず

 北朝鮮国営メディアは5日の党大会開始から4日を経た9日になって活動総括報告の詳細を報じた。2016年5月の前回党大会に活動総括を報告した時とは異なり、金委員長の肉声はまだ伝えられていない。北朝鮮出身で、韓国の民間研究機関「SAND研究所」の崔慶嬉(チェギョンヒ)所長は「金委員長の自信のなさが表れている」と分析する。

 北朝鮮は昨年、長引く経済制裁に加え、新型コロナウイルスによる国境封鎖、水害被害の「三重苦」に見舞われた。党大会開催を決めた昨年8月の時点で、経済不振を認めざるを得なくなり、党大会でも金委員長が開会の辞で直接、16~20年の「国家経済発展5カ年戦略」について、「目標はほぼすべての部門で大幅に未達だった」と経済政策の失敗を正面から認めた。

 特に影響が大きいのが新型コロナだ。韓国貿易協会によると、北朝鮮が貿易のほとんどを依存する中国との20年の貿易総額は11月末時点で約5億3400万ドル(約550億円)で、1年間の貿易額が約28億ドルだった前年の8割減となる見通し。特に10月以降は以前にも増して国境封鎖が強化されたとみられ、前年同月比で1%にも満たない額だ。

国内団結目指す「自力更生、自給自足」

 金委員長は今年以降の「国家経済発展5カ年計画」について、「現実的な可能性を考慮して国家経済の自立的構造を完備する。輸入依存度を低くして、人民の生活を安定させるための要求を反映した」と説明。制裁解除や新型コロナの流行終息は見通しが立たず、当面は海外からの投資や貿易の多角化による経済発展も望めない。そう…

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