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コロナで変わる世界

温暖化 なぜ日本世論は盛り上がらないのか 気候変動の専門家と考える

国立環境研究所の江守正多さん=本人提供

 新型コロナウイルスで打撃を受けた経済の立て直しの軸に、気候変動対策を据えるグリーンリカバリー(緑の復興)が広がっている。「周回遅れ」との評価もあった日本も2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする目標を掲げた。「脱炭素」に向けた日本社会の課題について、国立環境研究所地球環境研究センター副センター長の江守正多さん(50)と考えた。【聞き手・八田浩輔】

コロナが変えた暮らしとCO2

 ――新型コロナの流行で世界の経済活動が停滞し、2020年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量は前年と比べて7%減りました。記録的な減少幅ですが、この数字をどのように受け止めればいいのでしょう。

 ◆国別で見ると世界最大のCO2排出国である中国はほぼ前年並みに回復しているが、世界規模で見ると現在でも排出量が5%ほど低い状態が続いている。これをどう見るかがポイントだ。航空業界など経済的なダメージが大きい産業の排出量はこれから戻るにしても、時間がかかるといわれている。コロナ禍で私たちの生活に構造的な変化が起きている。前ほど移動しなくてもいいとか、会議もオンラインで済ませるなど、今後定着する部分があるかもしれない。こうした変化によりある程度の削減分が維持されるなら、けっこうなことだ。

 ただしパリ協定が定める1・5度目標(※1)を目指すのであれば、これから毎年のようにCO2排出量を7%ずつ減らしていかなければいけない。当然、現在のままだとそのようなスピードで減らすことは難しい。

 各国でグリーンリカバリーが提唱されているのは、そうした背景もある。経済を我慢したからCO2が減ったという状況を続けるのではなく、経済や人々の生活を維持しながらエネルギーなどの構造転換を進めなければいけない。ただし、グリーンリカバリーを掲げながら景気回復のため化石燃料に投資している国もあるのは気になるところだ。

 (※1)気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」は、産業革命前からの地球の平均気温の上昇幅を2度未満、できれば1・5度より低く抑えることを掲げている。

外圧で動いた日本

 ――この1年で今世紀半ばまでに温室効果ガスの排出実質ゼロを掲げる国や地域が増えました。菅政権も10月、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする目標を掲げましたが、海外の流れにあらがいきれなくなった印象です。

 ◆菅政権の今回の決断にまず感謝したい。しかし、日本は外圧で動くだろうなと思っていたら、その通りのことが起きた。各国の国民性を風刺した「タイタニック・ジョーク」と呼ばれるものがある。世界各国の人を乗せた客船が沈没しそうになり、船長が男性の乗客に海に飛び込んでもらうために、何と声をかけて説得するかというものだ。米国人には「飛び込めば英雄だ」、英国人には「飛び込むのが紳士だ」、ドイツ人には「飛び込むのがルールだ」、そして日本人には「みんな飛び込んだから飛び込んで」と。その通りになった。

 同時に日本は産業政策として脱炭素を宣言した印象が強い。政府が2050年実質ゼロを宣言すると、製造業を含めた大企業も次々と2050年実質ゼロを宣言し始めた。どれだけの企業がこうなると分かっていて準備していたのか。あるいは「寝耳に水」で急場しのぎでやっているのか。中身はなくても、とりあえず言わないと投資家から見放されるという雰囲気が漂っている。

まん延する「負担意識」を変える

 ――日本は気候変動の影響で自然災害のリスクがより大きくなると指摘されている国です。それでも社会の気候変動への関心は高いとは言えません。なぜでしょう。

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