コロナ禍でひとり親の苦境鮮明に 湯浅誠氏が懸念する「今後の復興格差」

新型コロナウイルスの感染拡大は、経済的な格差を広げると指摘されている。困窮する人々をどう支援すべきか。NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長を務める湯浅誠・東京大特任教授に聞いた。【聞き手・福富智】
――コロナ禍と2008年のリーマン・ショックの違いは。
◆最大の違いは危機の長さだ。リーマン・ショックは、危機が起きた時にはその原因となった金融商品の後始末に向けて動き出していた。だが、今回のコロナ禍ではカギとなるワクチンの開発・普及に時間がかかっており、感染拡大が落ち着いたかと思えばまたぶり返すという繰り返しだ。なかなか展望が開けず、「ウィズコロナ」と呼ばれる状態が長期化している。
雇用面では、リーマン・ショックでは製造業を中心に影響が広がったが、今回は飲食業やフリーランスなどから影響が出始め、一部の製造業の派遣の人にまで及んでいる。そうした人々が生活を再建できないまま危機が長期化しており、その生活の立て直しが課題になるだろう。また、実際には企業に雇われている人と同じように働いているのに、契約上は個人事業主という人たちがリーマン・ショックの頃よりも増えた。「ギグワーカー」「ノマドワーカー」などと呼ばれる人たちだ。こうした人々は、新型コロナで仕事が無くなっても失業者にはカウントされないので実態は分からない。
――政府の対応は評価できますか?
◆今回、政府の対応はリーマン・ショックの時と比べると迅速だったと思う。ただ、現状は傷口にばんそうこうを貼ったようなもので、傷口そのものを塞ぐ必要がある。だが、新型コロナの収束には1、2年かかるかもしれず、傷口を塞ぐのは難しい。その間にも感染が広がっているので経済活動を抑制しなければならず、飲食店の個人経営者たちは厳しくなる。放置すれば困窮する家庭が出てくる恐れもあり、当面はばんそうこうを貼るという対症療法を続けるしかない。
――新型コロナは格差拡大をもたらしましたか?
◆非正規でもIT業界は潤っているなど業種によって異なるため一概には言えないが、災害は元々あった格差を顕在化させる面がある。最も格差が明らかになったのは、…
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