2020年は、辻輝子(1920~2017年)の生誕100年であった。この年、宮内庁からの下賜作品として辻輝子の陶芸作品7点が三重県のパラミタミュージアムに収蔵された。辻自身の著述によれば、美智子上皇后が作品に関心を寄せ、辻の生前、東宮御所で作品をご覧になっている。03年に開館した同ミュージアムは、パラミタ陶芸大賞展の開催や池田満寿夫の陶芸「般若心経」シリーズなど陶芸の展示で知られるほか、辻以外にも截金(きりかね)の人間国宝、江里佐代子ら女性作家の紹介に力を入れてきた美術館である。09年には筆者も「21世紀を担う女性陶芸家たち」展を監修している。同ミュージアムには、この度それまでなかった万華鏡作品なども加わり、辻の全体像を見渡すことのできる約400点を収蔵することとなった。
辻は「女性陶芸家の草分け」だが、それ以前に女性の作陶が皆無だったわけではない。近世には京都の樂家の妻たちや、尼僧で歌人の大田垣蓮月がおり、近代では東京の向島で作陶した香蓮、栃木・益子の絵付け師、皆川マス、京都の陶家を継いだ二代諏訪蘇山らも知られている。
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