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今月20日に発足するバイデン次期米政権が直面する外交課題を米バード大教授のウォルター・ラッセル・ミード氏に語ってもらった。
国際秩序を維持することはますます困難になっている。世界各国で混乱も起きている。何がこうした状況を生み出したのかといえば、それは(ITなどの進展が社会の変革をもたらす)情報革命だ。
情報革命により、国家、企業、家庭のあり方が変わった。西側国家の秩序は、安定した中間層がいることを前提に成り立っていた。中間層には、工場労働者や事務職の人たちが含まれていた。しかし、情報革命がこうした仕事を急速に減らしてしまった。人々は、自分の経済的安定が心配になり、自国政府には、まずは国内問題に注力するよう求めるようになった。その結果として、国際的な問題の解決がより難しくなった。
米国の混乱ぶりをみて「米国は衰退している」という人がいるが、果たしてそうだろうか。私が小学生の頃、ソ連(当時)が衛星「スプートニク」を打ち上げた。「米国は技術的にソ連に追い抜かれた」と認識された。ベトナム戦争のさなかには「米国は道を誤り、もう二度と復活しない」と指摘された。「経済的に日本に追い抜かれる」と言われた時期もあった。イラク戦争では「米国の世界的な指導力は失われた」と言われた。こうして見ると、米国の国力を巡る危機意識は第二次世界大戦後、ずっと続いてきた。
米国は資本主義に基づいた国家だ。資本主義は本質的に常に変革を求める仕組みだ。資本主義は、経済や文化、国際政治にまで変化をもたらしてきた。世界中のどこかで大問題が起きると、そのたびに「米国の衰退の兆候」と指摘されてきたが、歴史はそれほど単純ではない。混乱が生じることを米国衰退の証拠と考えるのはやめるべきだ。
時計の針を戻すことはできない。バイデン次期米政権は、まず…
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