「米国が憎い」と言わなかった被爆者の父 米在住の臨床心理医が今伝えたいこと
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核兵器の開発や保有、使用を全面的に禁じる史上初めての「核兵器禁止条約」が22日に発効する。だが、米露などの核保有国や、米国の核の傘の下にいる日本は条約に参加していない。著書「8時15分 ヒロシマで生きぬいて許す心」で父の被爆体験を描き、米国による原爆投下から75年の節目に公開された映画「8:15」のエグゼクティブ・プロデューサーも務めた米在住の臨床心理医、美甘章子さん(59)は今、何を思うのか。【聞き手・園部仁史】
核兵器禁止条約の発効は「核兵器を全面禁止する」という世界的規範ができるという意味で、とても素晴らしいと思います。ただ、条約には、核兵器を持つ国を、持たない方へ向ける現実的な仕組みが盛り込まれておらず、条約を批准した国々と、批准しない核保有国などの対立が逆に深まる可能性もあります。条約の発効をスタートラインにして、核兵器を減らす具体的な仕組みを国連や私たち一人一人が考えなければなりません。
「許す心」でとにかく前へ
2020年10月に94歳で他界した父進示の被爆体験を書いた「8時15分 ヒロシマで生きぬいて許す心」を13年に米国、14年に日本で出版しました。イタリア語など4カ国語に翻訳され、20年には本を原作にした米映画「8:15」(50分)が公開されました。
1945年8月6日午前8時15分、19歳だった父は爆心地の東北東1.2キロの自宅で屋根の瓦をはがす作業中に被爆しました。全身に大やけどをして右耳の半分を失い、父親も亡くして天涯孤独になりました。しかし、「米国が憎い」とは一切言いませんでした。…
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