毎日新聞
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きょうは各地で鏡開きが行われる。1年の無病息災を祈る。だがコロナ禍は収まる気配がなく、正月もなく心身をすり減らした医師や看護師の闘いが続く▲病気がちだった夏目漱石は彼らの仕事をこう書いている。報酬を得るためだけに職務に忠実なのではない。患者への接し方を病人の目から見れば、その仕事がいかに尊いかが分かる、と。<病人は彼等(かれら)のもたらす一点の好意によって急に生きて来る>▲全ての人を救えるわけではない。それでも力を尽くし、回復を祈らずにいられない。そんな医療従事者と重なる言葉がある。「もだえ神」だ。<一緒にもだえて、哀(かな)しんで、力になりたいという強い気持ち>。法政大総長の田中優子さんが近著「苦海(くがい)・浄土・日本」に記している▲小説「苦海浄土」で知られる石牟礼(いしむれ)道子さんの思想に迫る論考だ。石牟礼さんも水俣病患者の傍らに立つ「もだえ神」であった。では政府は今、国民とともにもだえ苦しんでいるのか▲つらいのは医療従事者だけではない。知事に背中を押される形で政府は1都3県に緊急事態宣言を出した。感染拡大を防ぐと同時に、経済を止める影響で生活苦にあえぐ人々をどうやって救うのか。菅義偉首相が悩み抜いた末に対策を講じてきたと感じている国民はどれほどいるだろう▲もだえ神は九州の方言「かせせんば」の気持ちに通じる。弱った人に加勢して助けなければ。国民の命と健康を守ることが政治の使命ならば、今こそ全身全霊で加勢しないでどうする。
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