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無月の譜

/37 松浦寿輝 画・井筒啓之

 一方、父はと言えば、最初のうちは竜介の将棋には何となく冷淡だった。そもそも父は将棋をまったくやらない人だったし、それはいまに至るまで変わらない。駒の動かしかたくらい知ってはいるのだろうが、盤にも駒にも見向きもしない。父さん、一局やろうよと竜介がときどき誘っても、笑顔で首を振るばかりで、乗ってきたためしがない。

 将棋もいいけれど、勉強をおろそかにするなよ、というのが父の口癖だった。長塚さんが、本気で名人をめざすつもりなら、中学生のうちに奨励会の試験を受けたほうがいい、そして東京に出て……などと先走るのに反対して、棋士になるにせよならないにせよ、ともかく高校くらいはちゃんと出なければと強く言い張って、竜介を地元の高校に進ませたのも父だった。

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