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イスラエルのワクチン接種、世界最速ペース 3週間で国民の2割に

新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種を受けるイスラエルのネタニヤフ首相=テルアビブ近郊で2021年1月9日、AP

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 中東のイスラエルが、世界最速のペースで、新型コロナウイルスワクチンの接種に突き進んでいる。昨年12月20日に3週間の間隔で2回必要とされる米製薬大手ファイザー製のワクチン接種を開始。約3週間で国民の約2割が1回目の接種を終え、今月10日には2回目の接種が始まった。旗振り役は「パンデミック(世界的大流行)を克服する最初の国になる」と強調するネタニヤフ首相。その理由とは――。

 人口約900万人のイスラエルは、医療従事者や介護従事者、高齢者、感染すると重症化するリスクのある基礎疾患を持つ人たちへのワクチン接種を積極的に展開。すでに約200万人が1回目の接種を終えた。英オックスフォード大が運営する統計サイト「Our World in Data」によると、100人当たりの摂取数は19・55で、先にワクチン接種を始めた英国1・94、米国2・02の約10倍だ。

 背景にはいくつかの理由がある。ロイター通信はその一つとして、早期にワクチンを入手するため、製薬会社と高値で契約を結んだことを挙げた。政府は支払額を明らかにしていないが、当局筋は1本当たり約30ドルとし、他国の2倍に当たる額で購入しているという。さらにハイテク化された流通網があるイスラエルは、他国のモデルケースになると製薬会社に申し出て、情報の迅速な提供も約束したとされている。

 また、汚職疑惑の裁判が進行中のネタニヤフ氏にとって、パンデミックからの早期脱出は自身の政治的な生き残りと直結する問題でもある。ネタニヤフ氏は3月23日投開票の総選挙をにらみ、ワクチン接種の開始を2度も前倒しし、さらに当初計画の1日6万人の接種を2・5倍増の15万人へと大幅に拡大した。これに伴い、ワクチンの在庫不足問題が生じると、自ら製薬会社に掛け合うトップセールスを仕掛けるなど、ワクチンの早期納入に躍起となっている。

 ネタニヤフ氏は9日夜、国民に先駆けて、2回目の接種を受ける姿を公開した。「友人であるファイザー社のブーラ最高経営責任者(CEO)と17回目の会話で、イスラエルへの膨大な量の追加出荷について合意した」と述べ、個人的なパイプを生かして強力に働きかけたからこそ、ワクチンを国内に供給できていると強調。「遅くとも3月末までの2カ月以内に16歳以上の国民全員へのワクチン接種が可能になる」と政治力をアピールした。

 ワクチン接種が順調に進む一方で、新型コロナ流行の第3波は深刻だ。1日の新規感染者数が8000人(日本の人口で換算すると11万人に相当)を超える日が続き、感染者数は50万人に迫る。英国由来に続き、南アフリカ由来の変異株も見つかった。こうした状況を踏まえ、政府は12月下旬からの都市封鎖(ロックダウン)をさらに強化して延長。この余波で13日に予定されていたネタニヤフ氏の汚職事件の公判は無期限延期された。【エルサレム高橋宗男】

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