原爆が一瞬にして奪い去ったものとは 投下前の暮らしの写真のカラー化に挑む大学生の思い
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スイカを手にほほえむ少年、弁当を食べる幼稚園児たち――。原爆投下前の広島には私たちの時代と変わらない日常の風景があった。広島出身の東大生、庭田杏珠さん(19)は戦前から戦後の白黒写真をAI(人工知能)でカラー化し、戦争体験者との対話を重ねる「記憶の解凍」プロジェクトに取り組んでいる。原爆の爆心直下だった街で始まった取り組みは、今を生きる世代に何を伝えているのか。アートとテクノロジーを通じて発信する庭田さんに聞いた。【聞き手・椋田佳代】
小学5年生まで平和学習が苦手でした。戦争がもたらした悲惨な光景を受けとめきれず、戦争や平和について考えることに苦手意識を持っていました。変わったのは、平和記念公園(広島市中区)のフィールドワークで使った一枚のパンフレットがきっかけです。原爆投下前と現在の様子が見比べられるもので、約4000人が暮らす繁華街だった旧中島地区に映画館やカフェがあり、私たちと変わらない日常生活があったけれど原爆により一瞬にして失われたことを知りました。これまで人ごととして捉えていた戦争が一気に“自分ごと”として考えられるようになり、「伝えたい」と思うようになりました。
「ずっと家族のことを思い出してきた」
現在取り組んでいる「記憶の解凍」プロジェクトは高校1年生だった2017年夏、平和記念公園での署名活動中に旧中島地区出身の男性と偶然出会ったことから始まりました。原爆で家族全員を失った男性は疎開先に持参したアルバムを大切に保管していました。
「この写真を見ながら七十数年間、…
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