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特集ワイド

この国はどこへ コロナの時代に 日本赤十字看護大名誉教授・川嶋みどりさん 看護師軽視しないで

=手塚耕一郎撮影

感染危険区域勤務、医師より長い7~8時間 拍手よりも、法整備で守って

 新型コロナウイルス感染拡大の勢いは衰えず、首都圏1都3県に緊急事態宣言が再発令され、看護師たちの労働環境は厳しさを増すばかりだ。戦後の看護界をけん引してきた川嶋みどりさん(89)は「コロナ禍は私の看護師人生の中でも3本の指に入る非常事態です」と危機感を募らせる。

 1951年に看護師(当時は看護婦)となって70年。「日本のナイチンゲール」は奮闘する看護師たちについて語り始めた。「医療現場の逼迫(ひっぱく)状況は、看護師の使命感頼みだけではもう限界です。拍手を送るような美談にしてはなりません」

 全国の看護大学の教諭ら有志が集まって看護界の研究や発信を続ける「看護未来塾」で世話人の一人を務める川嶋さん。2020年9月のオンライン勉強会で、女性看護師が訴えたコロナ重症患者受け入れ病院での現状に強い衝撃を受けた。コロナ専用の集中治療室(ICU)で、看護師が医師よりもはるかに長い7~8時間もの間、感染リスクが高い「レッドゾーン」で働いている実態を明かしたからだ。

 コロナ専用のICUでは、重症患者に装着した人工心肺装置「ECMO(エクモ)」が安定して作動すると、医師は病床を離れるが、看護師はそばで容体を見守り続ける。レッドゾーンでは水も飲めない。防護服を脱いだり着たりするのに時間がかかるためトイレに行くのもままならない。通常は業者に委託している病室の清掃やシーツ交換、理学療法士らが行うリハビリまですべて看護師が行っている。また、PCR検査を行う外来の看護師も厳しい状況にある。交代要員はおらず、防護服を着て4時間以上立ちっぱなしで、トイレにも行けないという。

 川嶋さんは言う。「看護師の業務は『診療の補助と療養上の世話』と定められています。医療の『何でも屋』に扱われてはならないのですが、コロナ禍でそれが顕著に表れています」

 未来塾は同年10月、コロナ病棟のICU勤務とPCR外来で働く看護師たちの労働環境の改善を求め、提言を発表した。

 ICU勤務では、労働基準法の危険業務に準じた法整備を要望した。勤務は1日6時間とし「レッドゾーン」での1回の滞在は2時間を超えない、2時間ごとに30分間の休憩を保障する。そしてPCR検査業務では交代要員を配置し、労働時間はICUの看護師に準じることを求めた。さらに、感染病棟内の清掃などを専門的に行う新たな業種を育成するよう訴えた。

 川嶋さんは「勤務時間、休息を定めた労働条件の見直しに着手すべきです。現状では病院ごとの裁量に委ねられ、対応に差があります」と指摘する。

 過酷な業務に追い打ちをかけるのが…

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