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南三陸町の社会福祉協議会職員、高橋吏佳さん(48)が力を注ぐのは、新しい地域コミュニティーづくりだ。東日本大震災の津波で町並みは一変、町職員の夫文禎さん(当時43歳)は行方不明となった。今も残る心の穴を、日々触れ合う住民の笑顔や子どもの成長が埋め合わせ、間もなく10年を迎える。
真新しい家々が並ぶ高台の一角に建つ社協施設「結の里」で働く。カフェを併設しており、地域行事だけでなく職員との世間話が目的で立ち寄る住民も多い。昨年12月7日は、職員と住民が1月に予定する、そばを振る舞うイベントの段取りを打ち合わせていた。運営の中心的役割を担う高橋さんが「来年は年明けそばだね」とおどけると、笑い声があふれた。
2011年3月11日、沿岸部にある4階建ての結婚式場で高齢者芸能発表会の司会中に「吐き気を催すような」(高橋さん)長い横揺れが襲い、参加者と共に屋上に駆け上がった。足元まで打ち上がってきた津波は、内陸の町中心部まで一気に流れ込み、文禎さんがいるはずの防災対策庁舎ものみ込んでいった。
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