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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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「僕たちが生まれる少し前、ひとつの感染症が世界を変えた…

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 「僕たちが生まれる少し前、ひとつの感染症が世界を変えた」。相原瑛人(あきと)さんの漫画「ニューノーマル」はそんな主人公の独白で始まる。マスク着用が義務化され、服飾文化となった近未来社会での学校生活を描く▲調査会社「インテージ」によれば、新型コロナ禍でマスクの売り上げは昨年1~10月に前年の4倍に膨れ上がった。逆に売り上げが半減したのは口紅だ。口元が覆われてしまうためらしい▲存在感を増したマスクで、日常会話に支障を来している人もいる。対話相手が手話を使えない場合などに、口の動きから「声」を読み取る聴覚障害者だ。マスクでさえぎられ、その声が見えない▲その困難さに気づいてほしい――。耳の不自由な子どもを支援する大阪市のNPO法人「Silent Voice」は昨年、口元が見える透明マスク約1万枚を学校や飲食店などに無料配布する啓発活動をした。キャッチコピーは「声を、見せて。」▲マスクで「話しかけられていても分からない」との子どもたちの悩みを知ったのが発端だ。「対話は相手との共同作業。思いやりの大切さを伝えたかった」と代表理事の尾中友哉(ともや)さん(31)。聴覚障害者の日常を疑似体験してもらうイベントも開いた▲東京都国立市の「スターバックスコーヒーnonowa国立店」では聴覚障害のあるスタッフが聴者と共に働く。意思疎通が円滑になるよう透明マスクを着けている。注文を受ける口元に笑みが浮かぶ。気づきのきっかけはきっと、すぐそこにある。

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