視覚障害者柔道界に約15年のブランクを経て復帰し、東京パラリンピックに挑む選手がいる。女子63キロ級の工藤博子(36)=シーズアスリート=だ。地元・大分で介護職員をしていた一人の女性が2018年、畳の上で頂点を目指すアスリートに転身した。
体重約1000グラムの未熟児として生まれ、「未熟児網膜症」を発症した。左目はほとんど見えず、右目も視力は0.1以下という。中学生の時、田村亮子(現・谷亮子)の活躍による「ヤワラちゃんブーム」に触発され、友人と柔道部を設立して競技を始めた。高校でも健常者に交じって継続。県大会で個人3位になるなど実力を伸ばしたが「大学で続けるには実力的に難しい」と、卒業を機に競技から離れた。その後、短大に進学し、介護福祉士の資格を取得。卒業後は高齢者介護施設で働いていた。
転機が訪れたのは16年の秋だ。「東京パラリンピックでメダルを目指せる。一緒に世界を取ろう」。突然、こう持ちかけたのは、高校の同級生で当時、東京で視覚障害者柔道選手を指導していた仲元歩美さん(36)だ。後に日本視覚障害者柔道連盟の強化コーチにもなる仲元さんは、多くの試合を見る中で「手足が長く、技に切れがあった工藤なら世界レベルでも通用する」という感触を持っていた。
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